西村義樹/野矢茂樹『言語学の教室:哲学者と学ぶ認知言語学』中公新書2013年を読む。
僕は、言語学は新しいアイデアやヒントを生む潜在力があると感じている。
マイナーな分野であるからこそ、まだ未知な部分が多いのではないだろうか。
言語学は20世紀のはじめにソシュールが開拓した分野とされる。
その後「生成文法」で有名なチョムスキーとつづく。
本書によれば、生成文法は個人の心の働きから言語を説明するものであって、認知言語学はもっと広い視野に立って、外的な事象と心の関係から言語の働きを解明する言語学、というものであった。
僕が面白いと感じるのは、やはり学問間の相似性が言語学にも認められるからである。
先ほど書いた『格差という虚構』にも、環境と遺伝の分離不可能性、そして環境が能力に密接に関わっていることが示された。
心理学における「アフォーダンス」も環境に関するお話で、環境の力が示されている。
社会心理学はほとんど外部との繋がりを取り扱うので、これもまた環境のお話である。
であれば、言語学の研究結果が他の学問に応用できると考えるのが普通である。
僕はまだ確認できていないが、深いレベルの世界では既に応用されているかもしれない。
僕は、全ての学問は繋がっているという信念のもと、何か画期的な発見ができないかと模索する日々である。
つづく
公開2022-01-14