本書の構成は大きく分けて、
マルクスの基礎的な知識を復習
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学生運動の考察
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高度経済成長期の考察
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現代社会の閉塞感の考察
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これからの展望
である。
僕が一番知りたかったのは、何故若者が暴動を起こすほど過激な時代が存在し得たのかであった。
著者の見解としては、マルクスが神のように君臨していた為、つまり「宗教」的な力があったからだとする。
加えて、資本主義への嫌悪感が一定数の若者に存在していた為、とされる。
あとは正しい情報、すなわち当時のソ連の生活レベルが低かったということがちゃんと伝わっていなかったことだ。
これが答えであると僕は思わないが、ある程度は正しいだろう。
他にも数えきれない要因があるかもしれない。
例えば、当時の学校の教員たちは戦争の経験者、または戦時教育を叩き込まれた世代で、その暴力性が彼らにも伝染していたと考えられる。
今は即、体罰である。草食化とはこの規範の内在化と僕は見る。
古い男性観=肉食(暴力的なもの)、これに対立するものが草食であると僕は考える。
とはいえ、やはり宗教性の影響が大きいのかもしれない。
それだけマルクスというものが巨大なものだったのだろう。
今の僕には知り得ない。
人々が絶望的な状況に陥った時、そこにカリスマ性のある人物が登場し、批判精神に欠ける人間が集まって信者になっていったという、このマルクス主義の一連の流れ、そしてナチスによるファシズムには共通点があるだろう。
つづく
公開日2022-01-13