つづきを読み終えた。
この本を読み終わって、ますます正社員に復帰する意欲が削がれた。
この資本主義とどう折り合いをつけるべきか、そんな問いをぼんやり頭に残しながら読み進めた。
読み終えてなんとなく感じたのは、おそらく「日本の閉塞感」という言葉は中間層以下の人のものであって、上位層の人たちはそんなことを微塵も思っていないのでは、ということである。
賃金がいつまでも上がらないのは、やはり権力の問題が潜んでいるようにみえる。それは読み終わっても消えない。
実際、もう労働組合の力は無くなりつつあり、あとは権力構造をいかに変容させていくか、ということが本書の後半のメインテーマとなっている。
いくつか案は出ているみたいだが、答えは分からないのが現状であるみたいだ。
この本は今の労働問題、社会問題が詰まりすぎていて、現実から目をそらしたくなるほどに嫌気がさした。
人間のコモディティ化⇒使い捨て⇒「それは本人の自己責任だよね」と正当化
唯一の希望は、AIが労働力の大半を代替するようになり、「AI+BI」が世に浸透する、と予測している知識人が一定数いることである。
岸田総理が分配を訴えたことが、今の日本のどうしようもなさを象徴しているのだと著者は言う。
僕は自分が不幸ではあるとは思わないが、金銭的にできないことは山ほどある。
そのなかでも毎日楽しく生きる方法をアップデートする日々である。
ひとつ面白かったのが、著者が心理職(おそらく心理カウンセラーや精神分析家)をブルシット・ジョブのようなものとしてみなしていたことである。
僕は、個人的にはとてもお世話になったので、感謝しかないが、やはり僕のような精神疾患の人がどんどん生産されていく世の中はどこかおかしい。
つづく
公開日2022/1/28
補足:
2024年現在、本書の内容はほとんど忘れてしまった。
能力主義と分配についてはマイケル・サンデル『実力も運のうち』を読むといろいろと考えさせられる。
アメリカに限っては、いまだに「努力次第で運命は開ける」と考える人が少なくないようで、それが背景にありアメリカの社会保障の手薄さに繋がっているようである。
日本においてはそのような考えはだんだん無くなっていくのではないだろうか。
教育格差という本が売れている背景を考えるとそう捉えることは的外れではないように思う。