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川内有緒『パリの国連で夢を食う。』イースト・プレス(2014)
面接のシーンが印象的だった。
いつの時も、志望理由には悩まされるものであるが、聞こえのいいことを言うと面接官はときに微妙な表情を浮かべる。
著者は人類のミッションがどうのこうのと、壮大なスケールで志望理由を語ったものの、「国境や人種の壁を超えるのは簡単ではないですよ」と返される。著者の経歴を買われ、結果的に採用となったが、「差別」という観点から見ると本当に難しい壁だと思われる。
国連がどのような仕事をしているのか気になり、本書を手に取った。無論、守秘義務があるので部分的にしか分からないが、この本にはいろいろと考えさせられるうえ、エッセイとしても楽しく読める。
通勤時間などの隙間時間に読んでいきたい。
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本多康作/八重樫徹/谷岡知美『ヘイトスピーチの何が問題なのか 言語哲学と法哲学の観点から』法政大学出版局(2024)
言葉の暴力というのは、突き詰めるとなかなか同定しにくい。
言葉の暴力がどこに潜んでいるか、本書は4つの観点を挙げた。
・話し手の意図
・言葉自体
・言葉において実行された行為
・言葉によって起こる結果
言葉の内容そのものよりも、ジェスチャーのような視覚情報によってコミュニケーションは成り立っているとよく聞かされたものである。
ジェスチャーとは態度のあらわれともいえる。
言葉はきれいでも、態度が悪ければ言葉の意味が変わる。
言語哲学は奥が深い。
・・・
ヘイトスピーチを規制するのは難しいと書いてあった。
それは言論の自由を奪うことのリスクが大きいということが挙げられる。
なぜか。
それは、端的に何がヘイトスピーチに該当するのかを線引きしようとするとかなり難しいことが分かるからだ。
なるほど、言語哲学と法哲学はここで交差するのかと、学問のつながりの醍醐味を感じさせられた。
国連は第二次世界大戦後の反省から生まれたとされる。
国連のやっていることから学べることは多くあるように思う。
差別問題、貧困問題etc.
障がい者福祉関係の仕事をしている自分としては非常に関心のあるトピックである。
明日以降も読み進めていきたい。
つづく