池田晶子/陸田真志『死と生きる 獄中哲学対話』新潮社(1999年)を読む。
池田氏と囚人の哲学対話ということで、興味があり購入。
ソクラテスやプラトンが誕生してから2500年といわれている。
人間の感覚からすれば途方もない時間である。
にもかかわらず、彼らが書き残した言葉はいまだに生きている。
それについて、池田晶子氏は「真理は表現されるべきである」と言う。
今は多様性のある社会になり、個人的には価値観がそれぞれの方向に拡散し、数学的な表現で言えば「発散」していくようにみえる。
この状況のなかに「真理」は存在するのだろうか。
おそらく存在する。
価値観は違えど、誰しもが自分の幸福度を上げていきたいと思っているはずである。
今日の政治的な争いのもとは、その普遍的な欲求が何かによって奪われるからではないか。
獄中の囚人と対話を通して「真理」の一欠片がみえてくる。
それを共有できる喜びをお互いに分かち合う。
これが哲学の醍醐味ではないだろうか。
つづく
公開日2022-02-08