ノエル・キャロル『批評について 芸術批評の哲学』勁草書房(2017年)を読む。
僕は芸術ほど価値と密接な関係にある分野はないとみている。
価値が芸術なのか。芸術が価値なのか。
古代の哲学者は「役に立つもの」が価値だと考えた。
ところが、現代アートはといえば、必ずしも役に立つとは言えないのではないだろうか。
どんな意味が込められているのかさっぱり分からないオブジェクト。
本書では意図と価値について考察がなされる。
著書は3つの点を挙げる。
・アクセス不可能性論法
・循環論法
・達成論法
いずれにせよ、価値づけに関する批評には困難が伴う。
本書では「ラウンド1」ということで、まずその困難さが示されていく。
資本主義の本質を考える際には芸術が適当だと僕は思う。
市場は価値の集合体であり、芸術もまた価値がなければ存在しない。
つづく
公開日2022-03-07