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読書日記172

       ヴァレリー『ヴァレリー集成Ⅲ』筑摩書房 (2011)

  

『批評について』のつづきも読み進める。

https://labo-dokusyo-fukurou.net/2024/04/18/%e8%aa%ad%e6%9b%b8%e6%97%a5%e8%a8%98170/

   

僕はヴァレリーの「美的無限」という概念が印象に残った。

例えば、食欲や睡眠欲は充足されるとともに消失するものである。

ところが、ある感性領域においては充足が反対に欲望を蘇らせる。

なかなか抽象的で難しい。

  

例えば人は「インスピレーションがわく」といった表現をする。

これに近いのではないのだろうか。

創造力を掻き立てるもの、知的好奇心を掻き立てるもの。

子供はエネルギーに満ち溢れている。

何事にも関心を示し、無限とも思えるほどの活力を感じさせる。

大人になると往々にして関心は薄れていくものである。

  

この「美的無限」とはある意味、このエネルギーのことを指すのではないだろうか。

大人になっても突然何かに大きな可能性を感じ、そこへ突き進む人がなかにはいる。

ヴァレリーの芸術論はまだまだなぞった程度ではあるが、掴めそうで何か掴めない、そんなお昼の読書体験であった。

つづく

公開日2022-03-13

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