『数学に魅せられて、科学を見失う』のつづきを読み進める。
暗黒物質の謎が解明されないじれったさを端的に本書のタイトルが表している。
オイラーの公式、エネルギーと質量の等価性にまつわる公式等、自然をうまく表現したあかつきにはエレガントさも一緒にやってくる。
ところが先にエレガントさを気にすると泥沼にハマる。
形式論理学や実在論と絡めながら考えてみると物理学は面白い。
言葉は置き換えたり繋いだりすると意味が変わる。
意味が理解できるものは実在している確率が高い。
だからといって、常に意味が表すものが実在するとは限らない。
現代物理学もこのような状況にハマりこんでいる。
つまり、数学が示した理論(=意味)が実在するかどうかは実験で示されなければならない。
実験もまた難儀であって、現代物理学の行き詰まりは理論を確かめるための装置の構築が容易でないことも壁となっている。
「モンスター群」の実在を人間は確かめることはできない。
否、理論上は存在はしているがそれを体現できるかどうかはわからない。
体現、再現、実在。
数学と実在は「意味」の如く宙を彷徨う。
ここに形式論理学と実在論の接点がある。
つづく
公開日2022-03-15