プラトン『国家 (下) 』岩波文庫を120ページまで読み進める
ソクラテスたちは、現実的に哲学者が国家の指導者になることは不可能ではないという結論に達した。
次に、哲学者は本当に真実を見極めることができるか考察する。
有名な洞窟の比喩がここでようやく登場する。
我々は実体ではなく影を見ているのだとしたら。
ソクラテスは思考実験的に話を進めていく。
例えば、明るい場所から暗い場所に行けば目が慣れずにぼんやりしてしまう。
反対に、暗い場所から明るい場所に行けば今度は目が眩む。
ここで「慣れ」が重要なポイントだとした。
もし洞窟で影しか見られない人間を、真実へと誘う場合、つまり明るい場所へと引っ張りだす時には目が眩んで正しく物事を認識することはできない。
しかし、慣れることによって徐々に正しく見ることができる。
ソクラテスはこの話を教育に応用した。
つまり、最初から暗闇に居座って影しか見ない者の「視線 」を変えることが重要である、と。
そして目が眩んで正しく認識ができないことのないように、徐々に慣れさせることによって物事を理解させることが教育の本質であるとした。
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現代の日本では、中学生や高校生にお金の教育をするべきだという議論がある。
それを全国レベルでするかどうか。
僕の直観では「無駄」である。
彼らは実際に借金や投資をする状況にあるだろうか。
必要な人間だけが各々勉強すればいいと思うのである。
急に暗闇から明るみに引っ張りだして目を眩ませることに成りかねないと思うからである。
つづく
公開日2022-03-23