オリヴィエ・ブランシャール『格差と闘え 政府の役割を再検討する』慶應義塾大学出版会 (2022年) を読む。
プラトン『国家』を読み終えたあとは再び政治や経済に関心が湧いてきた。
今回は格差に関する経済の読み物であるが、物事を中立に見るべく、次回以降は経済成長がもたらす恩恵等に関する記事も書いていきたい。
導入部分からその章における結論をざっくりと読み進める。
ビッグデータの時代とはいえ、脱税等や統計上の困難さから、正確に世界の格差を客観的に俯瞰できるデータは少ないという現状があるみたいである。
とはいえ、そのなかでも確実に言えることはある。
もはや、ある人物が裕福であるかどうかはその人物の国籍ではなく「階級」であるという事実が印象的であった。
裏を返せば、ある意味時代が逆戻りしているようにも受け取れる。
人々は、階級を壊すために革命を度々起こしてきた。
その階級間における格差を是正するには「教育への平等なアクセス」が必須であるみたいだ。
これは想像がつく。
例えばハーバード大学に入学する子の親の平均年収の高さは顕著である。
日本においても東大生の親の平均年収は約1000万円と、明らかに平均を飛び抜けて上回っている。
格差の根本原因は教育資源にあることが原因であることは疑いないだろう。
家に便利な教材や書籍が少ない家庭に育てば差がつくのは当然である。
今後の経済政策は格差を考慮することは必須というのが導入部分の結論であった。
この本は様々な学者が様々な提案をしているので、多角的に考える材料を提供してくれそうだ。
つづく
公開日2022-03-27