オリヴィエ・ブランシャール『格差と闘え 政府の役割を再検討する』のつづきを読み進める。
逆の視点で、「どうすれば格差を正当化できるか」という点から考察がなされる。
スキャンロンによれば、機会の平等 (教育や就労等) は格差を生む「条件」に過ぎないとする。
現代のアメリカでは仮に機会の平等が達成されたとしても、それだけでは格差を正当化できないとする。
スキャンロンは二つの社会を想定した。
A:1%が大金持ち、99%は貧乏
B:1%が貧乏、99%は裕福
この社会において、Bのほうは貧乏でいることへの精神的ダメージがAより大きいのである。
つまり、格差と貧困は物質的な次元だけの話ではないことが示唆される。
これはジェンダーや人種問題に顕著である。
故に、「再配分」だけでは効果がないとする。
彼は、この論調で進めていくと、最後には「ロールズの格差原理」へとたどり着くとする。
個人的には、別の書物でロールズの限界が示されていることから、学者間でも意見が割れていることが確認できた。
以上からも、やはり争点は「承認」にあるのではないかと思う気がしてなrtない。
つづく
公開日2022-03-29