佐藤郁哉『大学改革の迷走』のつづきを読む。
この本は資本主義と官僚制の縮図を端的に表しているなと感じた。
政策文書に「KPI」「PDCA」などの「和製英語」が続出。
著者によれば、「PDCA」は工場に関する概念のようなもので、経営全般について当てはまるようなものではないと指摘する。また、Aに相当する「action」だけが名詞であることから、これがどう考えても和製であると指摘する。
私立大学は生存のために、文部科学相に「忖度」してしまうと著者は言う。
さきほど書いたシラバスの例はまさにそれで、忖度によって無駄なシラバスが生まれ、誰のための、何のためのシラバスなのかが分からない。
「就職率99%」という触れ込みは誰もが目にしたことかと思われる。
これはまさしく、「うちの大学に入る価値はこれだけあります」というアピールに他ならず、一部の大学はアカデミズムがあまり機能してないようにも思われる。
法科大学院の乱立もおそらくその名残りかもしれない。
中学生、高校生の若い人たちに正しい情報が届いているのか、少し気になるところである。
つづく
公開日2022-03-30