■株式会社筑摩書房
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メモ
スチュアート・ミル(イギリスの思想家)「悪人が自分の企みを実現させるには善人が傍観して何もしないこと以外何も必要としない」
キング牧師「最大の悲劇は善い人たちのひどい沈黙」
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日記
「無知は罪だ」と言ったジャーナリストの言葉が忘れられない。
この言葉には勝手ながら勇気付けられている。
自分は社会的存在としては塵にすぎない。
しかし、できることはある。
無知であることを自覚し、常に好奇心に従っていけるところまでやってみる。
これだけは毎日実践している。
アーレント『エルサレムのアイヒマン』(みすず書房)を現在少しずつ読んでいる。
アイヒマンはあまりにも有名なので、今回はアイヒマン実験、別名「ミルグラム実験」について書かれていた本書をささっと読み終えた。
Googleで検索すればすぐに出てくるので詳細は割愛。
問題は、なぜ人は簡単に悪人になり得るのかという哲学的な問いである。
アイヒマンはいわば「普通の人」であり、ただ上の命令を実行しただけと主張した。
しかしながら、世界は許容せず、当然のように彼は処刑された。
人々が簡単に悪人になり得る原因を、アメリカの心理学者キャサリン・サンダーソンは4つ挙げた。
・責任の拡散(誰かがやってくれるという感覚)
・事実に気がつきにくい
・不正に立ち向かうことによるリスク
・同調圧力
個人的にはそれに加えて「現状維持バイアス(安定を好み、現状を変えようとしない)」があると考えた。
アリストテレスの「共通善」という概念がある。
「人々が道徳的に優秀である状態」という概念であると本書に書かれてある。
ミルグラム実験のなかで、上の命令に背いた人間は道徳的に優秀であった可能性が高いと個人的にはみている。
ただ、最後まで止めなかった人間はなぜ3分の2だったのか、これが詳しくわからない。
道徳的に優秀な人間が不正に立ち向かえるのか、それとも不正に立ち向かえる人間がどれだけ多いかが共通善の成立条件なのか。これが本書では情報不足で判明しなかった。
・・・
功利主義という言葉がある。
医療は功利主義の原理が働くとされている。
トリアージの目的は助かる命をできる限り多く助けることにある。
これは言い換えれば、幸福の総和の最大化である。
功利主義は必然的に「帰結主義(結果から善悪を判断する)」の原理を含む。
トロッコ問題では多くの命を救う選択を取る立場にある。
ただ、「どんな手段を使ってでも」それを実行するべきか、という論点がある。
また、帰結主義の問題点として、個人的には「未来の不確実性」があると考えてる。
結果を予測できるのは「ある程度」までであり、完璧に予測することは現代の科学力では不可能である。
だからこそ、結果から物事を判断するのではなく、別の仕方で不確実性に対抗できる力をつけなければならないと思うのである。
公開日2022-07-30