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読書日記556

    高橋昌一郎『20世紀論争史 現代思想の源泉』光文社新書(2021)

■株式会社光文社

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日記

自分で必死に考えていたことが、実は100年前から真剣に論争されていて、既に結論が出ていた。そういうときは萎えるものである。

「道徳の科学」について、ポパーとヴィトゲンシュタインは論争を交わした。

本書を読んで、ヴィトゲンシュタインはひねくれもののような印象を抱いた。

彼は「言語が思考を規定する」と考えた。

確かに、虹の色の数は母語が何語かで変わる。

「文化相対主義」なる立場がある。

しかし、それでも言語を越えた普遍的なものはあると個人的には考える。

ヴィトゲンシュタインは「道徳の科学」というものについて、あくまで数学や論理学の問題であるとし、そんなものはないと考えていたようである。

しかしポパーは反論した。

その論争はどうやらある一緒に行っていた授業の際に行われたようである。

ポパーに対して苛立ちがつのり、ヴィトゲンシュタインの落ち着きがなくなり、「実例をあげてみたまえ」と言い、ポパーが「(私に対して)脅さないこと」と言った瞬間に帰ってしまったという。

少し自分で考えてみた。

論理というもの、数学というものについて。

道徳を数学的な形式で表すことは可能か。

それに近いことを行っていた人物はやはりいるのではないだろうか。

もう少し視野を広げて文献を読み漁りたい。

端的に、なぜ政治哲学論争に決着がつかないのかが謎だからである。

(『アメリカ現代思想の教室』を読み終わったときに強く思った。)

公開日2022-08-01

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