■株式会社青土社
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■株式会社筑摩書房
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■株式会社河出書房新社
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メモ
『文化と神の死』
”ヘーゲルは『精神現象学』のなかで、<啓蒙>の永続的関心事は宗教に対する戦いであると注記している” P17
“ニーチェの主張は、グレイが理解するところでは、神は、いくつかの偽名のもとに身を隠すことになったが、その偽名のひとつが道徳であった、と。” P24
”パスカルにならっていえば、暗くはかりしれぬ神が合理性の限界を思い知らせることになるーー合理性がおおむね道具的なもの、計算とか、因果関係のみに関係するようなものになるとき、そのような合理性は意味と価値からなる社会的存在を空洞化しかねない。” P60
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『来るべき書物』
“すなわち、読むということは、考察よりも無垢と自由をより多く要求するような幸福なのである。あれこれと気を使う細心な読書、まるで宗教の儀式のようにおごそかに執り行われる読書、これは、書物のうえに、あらかじめ、尊敬の印をおすようなものであって、この印が、書物を重く閉じてしまうのだ。” P190
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『喜ばしき知恵』
”およそ書物なるものの彼方へとわれわれを選び去るのでないとしたら、書物にいったい何の意味があるのだろう?” P272
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ちょっとしたメモ
書くことは、それ自体が無目的であっても、書かれたものはある瞬間、ある瞬間にと、絶えず参照され続けるものである。無目的でありながら意味を持つということはまさにこの参照にかかるものである。したがってーー書くことはそれ自体に意味は否応なくつきまとう。では、読むことはどうだろうか?
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日記
知識は動機を与えるものにはならない。AIにいくら一冊の辞典の情報量超えるデータを学習させたからといって、AI自身が何かを学びたいと動機づけられることはない。
理性もおよそこの延長線上にあって、知識が何かの好奇心を育てるとすれば、そこには喜びというものがかならずあるのである。
『文化と神の死』の70項には以下のように書かれている。
“これとは対照的に<理性>にもとづく道徳は堅固な基盤をもっているが、人を動機づける力を欠いている。” P70
ニーチェが、宗教が形を変えて今では「道徳」に置き換わっている、そのように考えたと解釈するグレイのくだりの話は興味深い。それがアカデミズム的に正当な解釈なのかどうかはいったん留保して、これは考察に値するものだと自分には思われた。
「道徳的に生きよう」というメッセージを「キリストのように生きよう」と置き換えても確かに違和感はない。
今日は『文化と神の死』を再読。第一章を読み終えた。
世の中を良くしよう、という運動はほぼ不毛に終わっているようにみえる。
あらゆる啓蒙活動は往々にして不毛に終わるものである。自己啓発のような啓蒙書も然り。
西山雄二『哲学への権利』に、「文学は役に立たないからこそ価値がある、という立場はもうやめたほうがいい」といった主旨のことが書かれていた。
芸術作品の一部は投資の対象として、まるで金融商品になり果てている。(書物も小規模ながら、せどりの対象である)
こんなことを考えながら丸善ジュンク堂書店をぶらぶら歩いていた。
スマホ社会における本の在り方を問い直す新刊書を発見。
電子書籍は「触覚」が紙の本と質が違う。この些細なことが、いかに脳に与える影響に紙との差異を与えるのか、そのようなことが書かれていた。
しかし今の自分はこのような本に、なにか新しいひらめきやアイデアをもらえるような可能性を感じなかった。
明日はマクルーハン『グーテンベルクの銀河系』のつづきをちまちまと読んでいこうと思う。
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川上未映子『黄色い家』読了
■株式会社中央公論新社
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感想
ネタバレなしで感想を書いておこうと思う。
この本を読み終えたとき、本書のキーワードとなるような単語をいくつか挙げてみた。
大切な人、信頼、裏切り、若さと判断力、共同、連帯、共通の目的、共通前提
・「なんとなく」で始まったところには物語が宿る
自分は5年前から「目的」という言葉に嫌悪を抱いてきたが、主人公の長期的な目的が曖昧だったからこそ(勿論、短期の目的はあった)様々な人と出会い、連携してうまくやっていけたように思う。
利害関係を持つと、どちらかがどちらかに利益を与えられないようになると関係は一瞬で崩壊していく。
裏を返せば、どちらにもメリットがある以上、その関係が壊れることはあまりない。
・曖昧さには力が宿る
以上から、自分は合理性に若干の疑いを自然と持つようになっている。
合理的に過ぎればすぎるほど、全体的にはうまくいかないことが多い。これは本来、人間が合理的ではないからなのだと思われる。
何回も引用しているが、小室直樹は「合理的であろうとする動機が、合理的であるはずがない」と断言している。
理論というものは曖昧さを許容しない。
これが啓蒙にかかる罠であり、理性の限界であり臨界点である。
小説には理論などいらない。
小説は、読書は、なにかしらの意味作用があるにせよ、やはり考えること、想像すること、読むことの楽しさを感じさせてくれる、文化的な営みだ。