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日記
定点観測という言葉があるが、自分にとって人生について考える際の定点となるのは池田晶子の本である。
気が付けば、池田晶子の本は月に1回は必ず読んでいる気がしている。
『あたりまえなことばかり』というタイトルのこの本、内容はごく平凡な日常が語られると思いきや、全くそんなことはなく、「驚き」と思索に関する重要なことが書かれている。
また、この本は2023年の時点で19回重版されている。これは、実はとんでもなく凄いことなのではないだろうか。
池田晶子の本が読み継がれていること、そして哲学(池田晶子はこの言葉をあまり使いたがらない。「考えること」とされる)がいまだに一定の読者層に根強い人気があるということだ。
池田晶子の本は、非常に平素で分かりやすい文体で書かれているが、その射程範囲はおそらく難解な哲学書よりも深い。
いまだに、敢えて難しい表現で抽象的なことを語る本は、やはりどこか胡散臭さがぬぐえない。そういう本はこっそり、ひっそりと売ることにしている。
無知の知の本質が87項に書かれている。
“つまりわからなさの確信ということです。” P87-88
分からないから思考を止める人もなかにはいるかもしれないが、それでもあきらめきれず、謎を突き詰めずにはいられない。それが考える人のさがだ。
そして、分からないからこそ、いつかはたどり着けるかもしれない場所へ向かい続けることができる。
池田晶子は本書のなかで、「善悪は相対的でしかない」というよくある発言について、「それは絶対的なものがあるからこそ、そう言えるのです」と書いてあった。
ゆるがない言葉への絶対的な信頼。考えることは呼吸とまで言う池田晶子。
良い本だなと、改めて感じる。
関連図書
・池田晶子の本