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日記
『絶望の国の幸福な若者たち』は2011年に刊行された。
十年経った今、本書に普遍性があるのか確かめてみた。
結論としては、大人はいつも若者を何らかのワードで分類したがる(例: Z世代、さとり世代、ゆとり世代、草食化)という傾向にあるのは間違いなく、そしてそれらは往々にして「いつも」的を得ていない。
・・・
なぜ的を得ていないのか。
自分なりに少し考えてみた。
1、何らかの概念を持ち出す。
2、その概念について具体的な定義がなされるものの、その要因について考察は少ない。
3、抽象的な概念のまま若者論に代入する。
『社会科学の哲学入門』に書いてある通り、個人の価値観は社会的な状況に影響を受けている可能性は大いにある。
「鶏が先か卵が先か」と同じように、価値観も「個人が先か社会が先か」の論争には決着がついていない。
男の子がある日突然「草食化」した。突然遺伝子が変わったとでも言いたかったのだろうか?
十年前の私は大局観が皆無であったのでさっぱり分からなかったが、環境的な要因が多いのは当たり前ではないだろうか。
こちらの本にヒントがたくさんあるように思う。
監視カメラ、自粛警察。
パノプティコン化した日本でおおらかに暮らすことは難しいのではないだろうか。
これも論じればキリがないので割愛せざるを得ないが、要するにあらゆるものが抑圧化された帰結が「草食化」の可能性は高い。
そして、「大人」は深い考察をすることなしに「これだから今時の○○は」と言う。
いまどきの若者像はいつもズレているとは、つまりはそういうことではないだろうか。
ちなみに、松本千明『38際バツイチ独身女がマッチングアプリをやってみた結果日記』を読む限り、若者の恋愛に対する情熱が衰えているとは思えない。