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読書日記719

加藤典洋『世界をわからないものに育てること――文学・思想論集』岩波書店(2016)

■株式会社岩波書店

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日記

百田尚樹氏の『永遠の0』(2006)をめぐる評論に目を通した。

以下のことが書かれていた。

・小説は作者のイデオロギーを反映してはいない。

・東日本大震災後、「感動しやすい社会」が生まれた

・浅田彰の『逃走論』が予言した通り、パラノ型がスキゾ型を凌駕した。

・宮崎駿は『永遠の0』を「零戦神話」だと批判。

・百田尚樹氏は『風立ちぬ』の後半で思わず声が出る、そして好評価を与えた。

・作家石田衣良は感動しやすい社会に対して、「可哀想」というセンチメンタルな視点で映画を観ているとみた。

・・・

自身の経験からも、たしかに震災後は「頑張ろう」という言葉や「絆」という言葉が飛び交ったように思う。

震災後も何回も大きな地震が日本中であった。

「感動しやすい社会」という括りに違和感を感じた。

これは一過性であって、普遍性はない。

2022年の日本がまだそのような状況にあるとは思えない。

端的にメディアによる印象操作のようなものではないだろうか。

頑張ろう、絆絆絆、と言っていたのは常にメディアだったではないか。

括り方を間違えると因数分解は失敗するように、この評論には若干の非論理性を感じた。

公開日2022/10/8

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