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日記
落合勝人『林達夫 編集の精神』だけでは林達夫という人物の人柄が見えにくいように感じたので、本書と併せて読むことにした。
子供について、養鶏について語られたあとに大学論の話になる。
やはり、穏和な人柄が伝わってきたが大学論になるとやや辛辣で手厳しい一面も見せているように感じた。
60ページあたりから学問の公共性と私有性について語られた。
ここには資本主義に対する半ば諦めのようなものを感じさせられた。
学問の発達はすなわちの文明の発達でもある。(例えば蝋燭⇒LEDのように)
林達夫は学問の公共性と私有性のジレンマを語る。
意訳にはなるが(詳細が気になる方はご拝読を)、つまるところ以下のようになる。
・社会に奉仕するため研究者は学問を究める。そして彼の学説に共鳴し、追随する者を待っている人間がいる一方で、自分で発見した学説を独占しようとする者もいる。独占しようとする理由はつまるところ保身であり生活のためである。
・学説に所有権を認めてみてはどうか、という発想は資本主義以前にはまずなかった。
・資本主義において学問と思想はもはや商品となっている。そして、お金になるからと、新しい学説に商人(=企業)が群がる。
・・・
そして林達夫は、学問は社会の共有財産であるべきだと語る。
技術が盗まれ「不労所得」となるケースが少なくないと述べた。
・・・
個人的には競争の原理自体を否定するのはおかしいと考えている。
しかし、書店に行くと著作権に関する法律、専門書が溢れているところをみると、単なる「競争」も、ある一面では非常にややこしい問題を持っていることを思わせる。
そのような状況のなかで林達夫が見出した道をまずは確認していきたい。
公開日2022/10/9