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読書日記721

       落合勝人『林達夫 編集の精神』岩波書店(2021)

■株式会社岩波書店

公式HP:https://www.iwanami.co.jp/

公式X(旧 Twitter):https://twitter.com/Iwanamishoten?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Eautho

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つづきをよみすすめた。

https://labo-dokusyo-fukurou.net/2024/06/09/%e8%aa%ad%e6%9b%b8%e6%97%a5%e8%a8%98718/

  

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メモ

トルバトゥール・・・中世の詩人

ジョングルール・・・中世フランスにおける旅芸人。聖者伝などを歌う。伝承の担い手として役割を果たした。

ベルクソン「宗教は知性の分解力に対する自然の防御的反作用である」

(『道徳と宗教の二源泉』)

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日記

非常に密度の濃い第一章を読み終えた。

林達夫は書籍をめぐる重要な問い、「作家は誰のために書くのか?」に対する問いには「答えることができない」と述べていたことを確認。

・・・

まず、林達夫の着眼点に独創性を感じた。

前の記事においては、関東大震災後の出版業界に対する林達夫の見解を軽く書いた。

岩波書店に追随するかたちで講談社が雑誌を大量生産し、市場には溢れんばかりの雑誌が台頭した。

林達夫は競争原理による書物の「質的変化」に敏感だったと思われる。

関東大震災の頃に林達夫は「役割の流動性」に着目する。

おそらく、この出版業界の微妙な変化を感じ取ってか、書物の「役目」というものを歴史的に俯瞰する作業を必要にしたのだろう。

「僧侶・トルバドゥール」=「ジョングレール」→「聴き手」

「僧侶・トルバトゥール」→「ジョングレール」→「聴き手」

「小説家」→(編集者)→「読者」

林達夫はこの流動性を『書物の周囲』を通し壮大なスケールで描いた。

・・・

岩波書店に入社したわけではなかったが、哲学者三木清が東京に移籍したこともあってか、彼の仕事を手伝うかたちで、以後編集に携わり続けた林達夫は10年かけてその足場を固めた。

(個人的には、正規の社員でなくても岩波で編集者になれた時代があったのかと少し驚く)

林達夫は編集者ディドロやプラトンに依拠しながらベルクソンについても考察を行った。

作家は書き手と同時に「読者」でもある。

したがって、読書を通じて作家の精神の半分は「社会的自我=良心」で構成されている。

そのような大局感を持って林達夫は中世ヨーロッパの宗教観と政治を見定めながら、「宗教・社会・政治・書物」の相互作用と言葉の在り方を探ったと思われる。

非常に複雑かつ深い洞察を行っていた、まさに博学と思わせる内容であった。

また、あまりにも密度の濃い100ページであったのでざっくりとした感想となってしまった。

つづく

公開日2022/10/9

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