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東浩紀『ゲンロン戦記: 「知の観客」をつくる』読了

   東浩紀『ゲンロン戦記: 「知の観客」をつくる』中公新書ラクレ(2020)

■株式会社中央公論新社

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公式X(旧 Twitter):https://twitter.com/chuko_bunko?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Eauthor

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感想

本書のタイトルから分かるように、「ゲンロン」は常に戦いに晒されていたことが分かった。

どのような戦いだったのかを一言で表すのであれば「人間のエゴイズム」との戦いだったと思われる。

・・・

著者が自身のことを「素人経営」と言っている点は、良い意味では「寛容」であり、悪い意味では「騙されやすい」ということに尽きるのではないだろうか。

オープンな討論の場としての「ゲンロン」は、有りのままの著者の寛容な性格、姿勢が反映されているように思った。

それが裏目に出てしまった。

オープンであったがために、会員の出入り、従業員の出入り共に激しい経営であったように感じた。

従業員との衝突、ときには経営を乗っ取りにくる輩も現れたりと、とにかく本書は人間のエゴイズムが強く描き出されているように感じた。

ある意味ではやはりお金が人間の目を眩ましている。

エゴイズムが肥大化していく。

最終的には小さな会社として地道にやっていく、という姿勢に落ち着いていくのであったが、本書の読み手として私は「言葉」の力について再度考えさせられた。

・・・

ひとつの仮定を立ててみた。

言葉は水である。

それがなければ生きていけない。エネルギーに変換される。

汚れを落とす役目を果たせば、ときに汚れを生む原因ともなる。

水が巨大な塊となれば人を殺めるものにもなり得る。

それでもなければ生きていけない水。

公開日2022/10/12

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