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箭内匡『イメージの人類学』読了

         箭内匡『イメージの人類学』せりか書房(2018)

株式会社せりか書房

公式HP:https://www.serica.co.jp

公式X(旧 Twitter ):不明

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つづきをよみすすめた。

https://labo-dokusyo-fukurou.net/2024/06/19/%e8%aa%ad%e6%9b%b8%e6%97%a5%e8%a8%98778/

  

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感想

人類学の本は最近になってようやく読むようになったので、本書が人類学の書物のなかで相対的にどのような位置付けにあるのかが掴めなかったが、基礎的なことは理解できたように思う。

フィールドワークは長期間共に住民と生活するものであり、同じような日常を送っているように見えるが、社会情勢や不安定な天候などに影響を少なからず受けるので、研究の材料としては反復的でありながらも「一回性」である点について強調されていた。

読んでいるとディナミズム、アニミズム、アナロジスム等の概念が現場の出来事に対して半ば「こじつけ」されている印象があった為(例えば、原発の作業で作業着を着ることは「儀礼」に似ているという記述)、途中から段々と読むモチベーションが失せてしまった。

これらの概念があとがきでベルクソンやドゥルーズの思想と結びつけられていくわけであるが、この両者の思想自体を私が全く理解していないので吟味の仕様がなかったのが力不足であると感じた。

そのような中でもひとつだけ収穫はあった。

数少ない私が持っている人類学の本に、ティム・インゴルドの本があるが、彼の考え方が少しだけ紹介されていたので、基礎的なことは理解できたように思う。

五感は各々、独立しているように見えるが実際はそうではない。

(例えば目を閉じていても耳から入ってくる情報で視界のイメージがわいてくるように)

それらが「イメージ」を通して統合されていく。

この「全体性」について彼は掘り下げて研究を行っていることだけは把握できた。

本書はもともと、人類学や社会学、哲学を横断的に統合するような本であると感じて読み始めたのであったが、読み終えた感想としては、やはり今後のアカデミズムはもはやひとつの領域では限界点があり(量子力学が苦戦しているように)、いよいよ編集的に、仮説同士をくっつけながら弁証法的に発展していくのだろうと思った次第である。

公開日2022/10/25

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