■株式会社青土社
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日記
導入部分から方法論の説明まで、94項まで読み進めた。
端的に、どういう問題意識を持ちながら本書を書いているのかなかなか伝わってこなかったが、私の解釈では公衆衛生の歴史の書き直しをしようとする試みだと感じた。
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公衆衛生というのは政府が主導のもとで発展してきたということで、歴史的に記述する際には「権力」という概念を持ち出す必要がある。
著者はミシェル・フーコーの「生権力」が人間中心的だとして、そこには環境、細菌などの自然的側面が議論から排除されているがために限界があると語る。
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哲学者ミシェル・セールが唱え、近年社会学などに応用されてるANT(アクター・ネットワーク)という考え方は、自立した「アクター(=行為者)」なるものは存在しなく、必ず外部(≒環境)の影響を受けているとする立場である。本書はこのANTの考えを援用しながら考察が進んでいく。
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しなしながら、西洋的というか、このANTなる概念は最先端で万能な理論だと思われる節があるように感じる。
私はANTと「編集」の明確な違いをいまだに理解できていない。
各々の学問がある一定の領域で結集し、新しい知見を生むように仕向けることが「編集」ではないのか。それはANTも同じではないのか。
とはいえ、個人的には公衆衛生の本は数冊読んでおきたいので読み物としては面白いと感じている。
公開日2022/10/28