閉じる

読書日記791

ランドルフ・M・ネシー『なぜ心はこんなに脆いのか: 不安や抑うつの進化心理学』草思社(2021)

■株式会社草思社

公式HP:https://www.soshisha.com/

公式(旧 Twitter):https://twitter.com/soshisha_SCI?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Eauthor

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

日記

ひとまず100項まで読み進めた。

苦悩の原因は遡及していくと結局のところ遺伝子にたどり着くというものであったが、個人的にもどかしいところでもあった。

DSMの混乱をたどり、ダーウィンの進化論から精神疾患を説明しようとする野心的な本である。

・・・

著者は情動を機能として捉えるのではなく、状況から生成されていく視点で捉えようとする。

およそ千年間、大勢の人間が情動について研究した。

しかしながら元素の周期表のように情動を区別しようとする試みは不毛に終わっている。

その失敗を鑑みて著者は発想を切り替える必要性を痛感する。

以上までがおよそ百ページに渡って展開された、「なぜ自然選択は我々の心を脆弱にしたか」という命題に対する方針である。

・・・

遺伝子の繁殖というその一点に全てが還元されるのであれば、それは何を意味するのかという形而上の話になっていく。

繁殖は増大、増殖、膨張と受けとると、拡張の止まらない宇宙空間の無目的性と同じように見える。

意味もなければ意思もないように見える。

しかしそれを俯瞰する人間の精神とはいったい何者なのかという謎が残される。

公開日2022/10/31

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。必須項目には印がついています *

© 2024 ラボ読書梟 | WordPress テーマ: CrestaProject の Annina Free