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日記
ルソーが性善説を信じていたということはルトガー・ブレグマンの本を通して知った。
それはおいておいて、「学問芸術論」というあまりにも抽象的なタイトルは、退屈さそのものの象徴でもありしばらく興味が持てずにいたが、これがのちにルソーが名声を得たきっかけを与えた懸賞論文であったということを知り、その不純な動機から読んでみる運びとなった。
そして、いっきに54項の論説の終わりまで読み終えた。
・・・
不正のない世界に法学はない、混沌のない世界に無益な瞑想はいらないという、ある意味では当たり前のことを書いているが、ルソーの主張には共感できる部分が多くあり、ソクラテスのように芸術の有害性について語る。
ソクラテスは芸術について無知であると自覚し、一方では芸術家が特殊なものを持っていると確信していた。
しかしまわりを見渡すと、ソクラテスは彼らが物事を何でも知っているかのような振る舞いをしていると感じ、それが知性に曇りを与えていると感じ始めた。
このことが今日でも全く変わっていない状況に、ルソーは痛烈な批判を行っていた。
農家が多すぎるのではないか、もっと哲学者を増やすべきではないか、そのような問題意識を持っていたことが読み取れた。
・・・
ルソーは人間ではなく社会のシステムのほうを攻撃の対象としたとされるが、人々を善良に向かわせるようなシステムをどう構築していけばいいのか。
プラトン『国家』とは異なる政治体系をどのように築いたのか。
いまのところはそこまで関心はいかないが、ルソーもプラトンを読んでいたことが分かると、やはり読書は世代を超越した、普遍的な営みだと感じずにはいられない。
公開日2022/11/1