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日記
『啓蒙の弁証法』はホロコーストを解明するべく立てられたフランクフルト学派のアドルノとホルクハイマーの共著である。
本書では、第二回の講義から第四回まで、これを仲正昌樹氏と共に精読する流れとなっている。
第一回は飛ばし、二回から読みすすめた。
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本書を読むと、マルクスが人間のコモディティ化について予言していたことはだいたい当たっていると感じた。
啓蒙の弁証法は神話が挿入されるので、神話に関する理解が浅い自分には難解に思え、岩波文庫から出ている本書を一度手放してしまった。しかしながらこの点に関しては丁寧な精読により、アドルノらの神話に対する」再解釈」という位置付けであり、「啓蒙」と神話物語の模倣性について展開されていることが理解できた。
付随してマルクスとヘーゲルに関する知識も吸収できたので一石二鳥であった。
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ざっくりと感想を書けば、人間が自然を支配できたかに思えた啓蒙の成果は、原子爆弾の投下、そして福島原発事故など事実から「否定的」な側面が大きいように見える。
「否定弁証法」の意味は、まさにこの負の側面に関する考察であることが本書から理解できた。
巨視的に見れば、AIの進出など、なんとなく社会は進歩しているように見える。
しかし、細かい部分にまで焦点を当てると実は人は不毛なミスばかりしているのではないかと思うような気もするところであった。
例えば、日々新しく出てくる本の内容は既に古典で語り尽くされているように思う。
啓蒙の弁証法でさえも、実はプラトンの注釈に過ぎないのではないだろうか。
公開日2022/11/5