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読書日記818

           西部邁『虚無の構造』中小宅文庫(2013)

■株式会社中央公論新社

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+ハイデガー『ヒューマニズムについて』

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メモ

ヤスパース・・・「デモクラシーと合体したヒューマニズムの言葉は人間性に宿る虚無感を直視していない」

ハイデガー・・・”言語が存在へと原初的に帰属しているというこの関わりは、公共性というありさまで自分を呈示してきいる主観性の支配のもとでは、隠されたままにとどまっている”『ヒューマニズムについて』P27

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日記

西部氏の本はすらすら読めるものではない。

とはいえ、今回は若干の手応えを感じた。

しかし、抽象的に言えば、自分のなかではまだ知が点在している段階で、ニヒリズムに関して様々な人間が行った考察を繋げることができないでいる。

・・・

西部氏は次のように語る。

「真理相対主義者は、他者を無視するという意味でニヒリストであり、自分のみに拘泥するという意味でエゴイストとなる」

真理相対主義者とは端的にいえば、正義は絶対的なものはない、勝者が正義を決めると考える立場の人間である。

これは裏を返せば、絶対的な真理などあるはずはないのだから、自分は正しいのだという考えに背中を押すものとなる。

人文系の学問が行き詰まりを見せることで相対主義が強化される。

「ほらみろ」

そして時代ごとに「正しいこと」は移り行き、部分的に人々は日和見主義へとシフトする。

社会学、政治学、経済学は各々「役割、権力、貨幣」といった象徴に物事を還元しようと試みているが、問いかけに終わりはなく、いつまでも普遍的な法則を提出できないでいる。

ミルグラムの実験にしても、かならず例外があり、科学の世界では「誤差」がある。

このことがどのように人々のエゴイズムを強化するのかはまだ本書の途中なので見えてこないが、ヤスパース、ハイデガー、ニーチェ、西部氏、そして執行草舟氏が語る「ヒューマニズム」の読解を通じて共通点を見出していければ、と思う。

公開日2022/11/13

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