■株式会社青土社
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日記
50ページ読み進めた。
というのも、一般書というものは概ね50ページ読めば軸は見えてくるものだと思っている。
結論から書いても意味がないと思ったので軽いまとめと感想を書き残す。
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まず著者は自己啓発をプラトン哲学、ストア派、ヘレニズム時代と流れていく「人文主義」の伝統を引き継ぐものだと位置付けている。
古代ギリシアの格言「汝自身を知れ」に感化されたソクラテスが「無知の知」を己の信念として掲げ、弟子のプラトンが「自己を知る」哲学を唱え、プラトンの弟子アリストテレスへとギリシア哲学は継がれていく。
・・・
本書によればサルトルの実存主義までも自己啓発の背中を押すものと位置付けている。
サルトルは、「実存主義は人文主義である」と発言している。
自分の選択で自己を作っていくというのがサルトルの考えであった。
しかし、逆説的に「自律性」が奪われていくことが本書の問題提起であった。
資本主義は原理からして競争激化社会である。
経済的に他人に負けたくない「ナルシシズム」はSNSによって強化される。
SNSでは虚栄心を拡大させる。
目立ちたがり、俗にいうマウンティングのようなことは日常茶飯事である。
かくして人々は疲れ果てる。
今日ではヨガ、瞑想、マインドフルネスなどが部分的ではあるが流行している。
それほどストレスがたまる熾烈な競争なのである。
ハン・ビョンチョルは『疲労社会』のなかで「達成する主体は存在しない」と述べた。
疲れ果てる為の自己啓発。
かくして自己啓発は自己矛盾化するという筋書きであった。
「とにかく幸せにならなければならない」
自律心は何処に向かうのか。
・・・
本書を読みながら、自分はキリスト教の基礎的な知識が足りないと痛感した。
西洋を理解するには宗教なしには理解できない。
「自己啓発=ネオリベ」と個人的には短絡的に位置付けていたが、そう単純なものでもないように思えた。
公開日2022/11/18