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読書日記846

加藤典洋『人類が永遠に続くのではないとしたら』新潮社(2014)

■株式会社新潮社

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日記

不確実性の世界において、大数の法則 (試行回数が限りなく多くなると統計的に確率が算出されるものに近似する) のようにはいかない、大きな災害 (原発事故など) リスクを抱えるこの世界において、我々は何をするべきなのか、という問題提起のもと本書は進む。

著者は「近代二分論」 という案を提出する。

世俗的な言い方に直せば、「成長派 / 脱成長派」 である。

問題点として、両者は対話ができないことを著者は挙げる。

この点に関しては個人的にも同意するが、何が原因なのかはよく分からない。

著者は打開策を模索し、まず見田宗介の「全体理論」を語り始める。

ややこしい議論になりそうだったので一旦本を閉じた。

細かい話にはなるが、「脱成長」と一括りにするのはどうかと感じている。

マルクス『資本論』に詳しい佐藤優氏によれば、斎藤幸平氏は「低成長」を提案しているのであって成長そのものを否定しているわけではない。

そのことを知らずに彼を脱成長派として語り合っている経営者は少なくないだろう。

要するに、人文系も人文系でややこしくし過ぎているのだ。理数系の研究者もおそらく彼の資本論を追いきれないと思われる。

話そうとしないのではなく、理解不能なまでにお互いの領域が深くなっているのが21世紀なのだろう。

理と文の境界線がもはや国境のようになっていると感じた。

公開日2022/12/1

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