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読書日記870

小林秀雄『学生との対話』新潮文庫(2017)

■株式会社新潮社

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日記

本書を久しぶりに読んでみたが、やはりいろいろと新しい発見があった。

再読の醍醐味はこれに間違いない。

まず小林秀雄は、ソクラテスと孔子は知に対するほぼ同じ態度が見られると話す。

本当の自分というものを追えばいずれ普遍性を持つようになると語る。

このあたりを読んでいるうちに、深い部分で人間同士は繋がっていることを再度認識した。

どうやら知というものは、人それぞれがバラバラに散っていくような構造にはなっていない。

また、小林秀雄が本居宣長の研究をするに至った理由について学生から質問された。

小林秀雄はまず先に喜びがなければならないと語る。

知識を吸収することに躍起になっているうちはまだ甘いということであった。

これは自分も最近ようやく理解し始めたことであり、『月と六ペンス』からも分かるように、何事も情熱、あるいはそれに近いものがないと仕事は完結しないと感じる。

・・・

そんな情熱はカント的には「感性」あるいは「趣味判断」とされる領域のものであって、「悟性」と「理性」、この二つと対立するとされるが、著者によれば「象徴」を通してこの2つに融和をもたらすという。

感性、悟性、理性の相互作用について『判断力批判』を読んで引き続き追い求めていきたい。

公開日2022/12/24

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