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読書日記871

土田知則『ポール・ド・マン――言語の不可能性、倫理の可能性』岩波書店(2012)

■株式会社岩波書店

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日記

美は客観的でありながら主観的な性質を併せ持つ。

この二重性については、テクストとその意味をめぐる哲学史上の問題 (ポスト構造主義系統の議論) と重ねて考えることができるように自分には思われた。

ポール・ド・マンはのちにイェール学派と呼ばれるようになる、「脱構築派」の批評家である。

・・・

冒頭から非常に興味深いトピックが語られた。

ボウリング・シューズについて、靴のひもを上から通すか下から通すか訪ねた際に、

「What’s the diferrence ?」

と言われた話を引き合いに出した。

文法通りに読めば「上から通すことと下から通すこと、その違いはなんですか?」となるが、本音では「そんなの、何が違うのさ」と思っているかもしれない。

「言葉」と「物」のあいだに媒介物を認めない姿勢を「字義的解釈主義」と呼ぶが、ド・マンはこのことを突き詰めて考えていったことをまず本書から学ぶことができた。

・・・

以上のことはモリス・バーマンが論じたベイトソンの「ダブルバインド」と繋がっているように思えた。

https://labo-dokusyo-fukurou.net/2024/06/09/%e3%83%a2%e3%83%aa%e3%82%b9%e3%83%bb%e3%83%90%e3%83%bc%e3%83%9e%e3%83%b3%e3%80%8e%e3%83%87%e3%82%ab%e3%83%ab%e3%83%88%e3%81%8b%e3%82%89%e3%83%99%e3%82%a4%e3%83%88%e3%82%bd%e3%83%b3%e3%81%b8%e3%80%8f/

  

神は存在しないと認めた瞬間から二重性に人類は苦しみ始めたのかもしれない。

統合失調症と二重性は無関係と思えない。

これを突き詰めようとすると人生を何回も繰り返す必要になりそうなので個人としてはあまり追わないようにしたい。

というわけであって、美学は様々な分野に降りかかってくるような気がし、その応用性の強さには惹かれるものがある。

公開日2022/12/24

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