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つづきを読み終えた。
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感想
本書を読み終えて、人間が持つマクロの心理とミクロの心理についていろいろと考えさせられた。
本書には普遍性が多く含まれていると思われるので、今後も判断材料として本書の内容を引き出すことは間違いなくあるだろうと感じた。
20回以上も増刷を重ねている本であるので、いかに多くの人に読まれていたのかがうかがえた。そしてその理由も納得のいく内容であったように思う。
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始めA君はクラスのまとまりのなさを嘆いた。そして医者と議論を進めていくうちにそれは「権威の失墜」にあることが分かった。
だからといって無理矢理まとめようとすると「権力」を行使することになり、集団のなかで力関係が生まれることも分かった。
これが社会という大きな集団の話になると支配関係が生まれる。そして歴史を振り返ると、全体主義や専制政治が発生する可能性があると分かり、そもそも何のための「まとまり」なのか。それを本書の後半で掘り下げていくこととなった。
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ユートピアは存在しないというのは、ではいったい何故なのか。
A君と医者が議論を進めていくうちに、その原因は「無知」であることだと判明した。
全ての国民が自立し、「判断力」を備えない限りユートピアは不可能であることが分かった。
なぜか。
私たちは、分からないことを専門家に判断を委ねる。
「これは食べても安全です」
そう言われて安心する。
しかし、なぜ安心なのか。その尺度は。安全の基準値は。基準値はどうやって測定するのか。その客観性は。精度は。
専門家は数値を算出する。しかし数値だけを見せられても国民はよく分からない。だから安心かどうか、そこだけを教えてくれと言われる。
「すがる気持ち」とよく言うが、権威は安心を得るための道具としても機能する。
医者がそのひとつの例である。
説得は、権威を持つことで人を動かすことを容易にする。
絶対に言うことを聞かない人にも、してほしいことの反対を言えばいいので全く問題がない。
しかし、証明できないこと(神は存在するかどうか等)に関しては説得の限界がある。
そこで「権威 / 反権威」の対立が生まれる。
どうしても言うことをきかせるには暴力、つまり革命しかないということになる。
しかし歴史的に、革命は「権力の交換」という役割しか果たせなかった。
権力と権威は水のように、人間関係のあらゆる隙間を埋めにかかる。
そもそも何故「まとまり」は必要なのか。なぜA君は「まとまり」を求めたのか。
国防レベルの話までもっていけば、「結束力」が侵略を防ぐ要となることが議論を通じて分かった。
しかし何回も書いたように、権力は「暴力」を伴うのであって、理想的な社会とは言えない。
究極的には権力の存在を認めない社会が理想であるが、そのためにはさきほど述べたように「判断力」が備わった成員で満たされた社会でなければならない。
しかし現実的にはかなり厳しい、という話に彼らは落ち着いた。
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最後は天皇制について話が及んだが、明治時代の知識がない自分には理解が難しい内容であった。
ここまで振り返り、近代の歴史はある意味権力闘争の歴史でもあって、この視点から歴史を勉強するのも面白そうだなと感じた。
公開日2023/1/27