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つづきをよみすすめた。
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日記
学部生時代に学んだイギリス史の復習でもあるように思えた。
本書の射程は歴史から民主主義と憲法、多数決や言論の自由、はたまた資本主義の精神や宗教社会学にまで派生していくので、200ページ程度の読書でさえも、多くの新しい収穫を与えられたように思う。
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憲法を掘り下げ続けイギリス史の解説に入っていくわけであるが、なかなか内容が濃いので個人としては重要なポイントだけ押さえればよいと判断した。
まず「伝統主義」というものが中世ヨーロッパで根強かったこと、これがながらく「中世」と括られる原因のひとつとも思われた。
そして「契約」社会の側面。
家臣がある王に仕えても、別の王にも仕えるということはあったと小室直樹は語る。
日本人の感覚ではわかりづらいことがよく起きていたことを再認識。
それからカルヴァンの「予定説」。
人間は何をしても救われないという、ある種の絶望的な教義はマックス・ウェーバー『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』を理解するうえで欠かせない。
小室直樹によれば、カルヴァンという天才が現代の資本主義世界をかたちづくったという。
カルヴァンの天才性は説得を強力にするロジックがあった点にある。
絶対に救われないが、救われる人がゼロではないという教えによって信仰の無限運動に入ることが可能となったと小室直樹は語る。
(詳しくは本書130ページあたりをご参照を)
また、予定説は誰が救われるか、どうやったら救われるかがわからないため、「人間は平等」という考えが派生したとされる。予定説から生まれた平等という概念、人権は民主主義のスタートとなる。
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また、予定説は何をやったら救われるかわからないが、もしかしたら救われるかもしれないという余地を与える。
これがウェーバーのいう「行動的禁欲」、つまり安息日以外は働き詰めという行動様式(=エートス)を生んだ。
その後、利潤を最大化しようという動機が複式簿記を誕生させ、目的に沿って合理的に経済活動を行う「資本主義の精神」が誕生した。
彼らプロテスタントの生活は「質素」のため、どんどんお金が貯まる構造となるのは自明であった。
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憲法から宗教の話まで展開され、いろいろな知識が点同士繋がっていき、線となっていく感覚を感じた。
つづく
公開日2023/4/23