■株式会社河出書房新社
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その他数冊
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日記
今日は通勤の途中にバタイユ『有罪者 無神学大全』を読んだ。
「不安」に関するバタイユの記述に目が吸い込まれた。
“『不安の概念』を読むために。裂け目のただなかで交流をつかみ取る者にとって、交流とは罪であり、悪である。交流は、安定した秩序の断絶である。笑い、快楽の絶頂、供犠、心を引き裂く卒倒は、ことごとく不安の現れだ。(・・・)不安とは蛇であり、誘惑なのだ。” (『有罪者 無神学大全』P122 )
職場の近くに大学があるが、今日はなぜかいつも以上に様々な大学生がキャンパスのまわりにたむろしていた。
自分もかつてその一人であったからよく分かる。新入生にとって、履修科目をどう取るのか、単位はどれくらい必要なのか、何を取らなければならないのか、短時間で選択しなければならず、非常に悩ませられる。
バタイユのそれとはベクトルが違うが、群れようとする心理には不安が大きく作用していることを再度認識させられた。これがもっと大きなスケールとなるとファシズムであり、フロム『自由からの逃走』なのだろうと思わされた。
・・・
小室直樹の本では「従軍慰安婦」の問題を突き詰めていた。
ただの時事評論ではない。小室直樹の魅力は、事実をもとに、数学をもとに、論理と科学から徹底的に物事を見る圧倒的な力量にあるように感じる。
小室直樹は「強制連行」があったかどうかのみ、つまり「合法的」かどうかだけを突き詰めた。
100ページ以上、ひたすら刑事訴訟法や国際法、外交の話と絡めて論じられる。
結論としては、小室直樹は「従軍慰安婦」の「強制連行」はなかったと考える。
平成3年頃に、国が総力をあげて、つまり警察庁、厚生労働省、防衛相や外務省などが資料を調べあげたが結論としては「強制連行」はなかったとしている。
藤岡前掲論文、秦郁彦論文においても同様に、強制連行を裏付ける証言が十分に取れていないために「強制連行」はなかったとしている。
小室直樹はこの一連の流れに対する予想される反論も用意していて、「挙証責任(これが事実であると証明する責任)」の観点から「韓国側も強制連行されたとは考えていないと考えるのが妥当」とした。
(従軍慰安婦問題に問題意識を持っていて詳しく知りたい方はご拝読を)
問題は、マスコミと世間の目によって事実の裏付けがないにもかかわらず、政治家は徹底的に事実確認をせず謝罪してしまい、「強制連行」があったかのように日本国民のみならずに韓国あるいは外国にも意識を植え付けるということにあった。
そして教科書には「強制連行はあった」となっているとのことである。
小室直樹は「リヴァイアサン」は法律で縛り上げなければこのような、事実をねじ曲げてしまうような「失態」をおかすと警鐘する。
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『図書館長の本棚』ではツタヤ図書館の分類法の欠陥を指摘した。詳しくは書かれていなかったが、ツタヤ図書館では読みたい本を探し出すのが困難であったり、選書内容に問題があるとした。
「公共性」というものをしっかり考えるべきだ、という内容であった。
この筆者の言葉、問題意識をしっかりと共有したいと思った。
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久しぶりに鈴木涼美氏の本を読んだ。
今日は読みたい箇所だけを読んだ。
「安くて安心」には限界があり、KAZU1やスキー場に向かっていたバスの死亡事故などが発生し、「脱成長」に関する新書がベストセラーになったことから、大人の、ビジネスに対する意識の変化を鈴木氏は読み取った。
自分が思ったのは、社会主義的な考えには批判的に見るべきだということである。
競争の原理までを否定してはいけない。そして「みんな平等」を安易に、表面的なかたちで、つまり形式的にすべきではない。(例えば、順位をつけない教育方針など)これはマルクス主義に関する本をいろいろと読み込んだ私なりの直感である。
自由競争を否定してはいけないが、たしかになんらかの規制は必要である。
資本主義の精神を潰さずに、かつ国民の安心安全を確保する。言葉では簡単に言えるが、これは実際かなり難しいのではないだろうか。
公開日2023/4/26