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日記
出光佐三のマルクスに対する見解は非常に考えさせられるものであった。
西欧は「物の国」、日本は「人の国」だと語る。
共産主義は唯物論の立場を取っているため、人間をある種の機械的な存在として捉えてしまう。
しかし出光佐三は、社会には矛盾が否応なくつきまとうものであって、マルクスの思想には人間を神だと勘違いしていないか、と語る。
“悪平等ということは、人間の矛盾性、人間の質の違いを認めていないということだ。その人間の矛盾性、質を無視しているところに、マルクスは、根本的な誤りをおかしているといえるのではないかと思うんだ。” P37(『マルクスが日本に生まれていたら』)
西欧的な考えのひとつとして、「自由か死か」という考え方があるが、大陸と島国という環境の差がいかに日本と西欧の思想に影響を与えているのかを考えさせられた。
出光佐三は社会が人間の意識を規定するというマルクス的な考えを退け、自問自答によって道を開けと語る。
西洋は合理的だと一般的に言われるが、「自由か死か」というフレーズは「ゼロか百か」という白黒思考めいたものを感じた。
曖昧を避けたがり、白黒ハッキリさせ「契約」を重視する西欧の社会構造が、マルクスの思想をも間接的に規定しているように自分には思われた。
自分では自分のことは分からない。出光佐三から目からは、資本主義の在り方を嫌ったマルクスもその資本主義を生み出した西欧の考え方から脱出しきれていないという事が、アイロニーとなって映し出された。
矛盾を打ち破るのは理論ではなく心であるというのが出光の構えであった。
“ただ人間は神・仏とは違って、獣性に似た、人間らしい矛盾性をもっている。その矛盾性から、いろいろゆがんだ社会現象も生まれてくるわけだが、それは人間が矛盾性をつつしみながら、平和に仲良く暮らすには、どうすればよいか、ということを判断して、社会の間違いや、ゆがんだ姿を正していけばよいんだ。” P107 (『マルクスが日本に生まれていたら』)
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『天才読書』を少しだけ読んでみた。
ペイパルの初期メンバーのティールが思想家ルネ・ジラールに師事していたという話が書かれていた。ジラールの「模倣理論」はティールに影響を与えたようで、また、ペイパルのまわりにも影響を与えたと書かれていた。本書を読む限りティールはジラールの模倣理論から人間の欲望と模倣に関する理論をビジネスに応用している。
イーロン・マスクも若い頃に多くの歴史書や小説を読んでいたことがうかがえた。
哲学と思想は役に立たないと言っているわりにはアメリカのビジネスに生かされているというのはアイロニーではないか。
そもそもこれは誰の発言だったのか。
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トマス・ピンチョンの「Entropy」を読んでみたが、短編ということもあって、解釈が難しいという点では詩に近いものを感じた。
科学と小説がセットになると面白味を増すことを実感しつつある。
モンテーニュ『エセー』は池田晶子が「これぞエッセイ」とお墨付きのエッセイである。
人間に対する深い洞察から何かヒントを得たいと思った。
つづく
公開日2023/5/24