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日記
『ニューロ』と『土と内臓』は対照的な本のように感じる。『ニューロ』を70ページほど読み進めたが(序論は全て読み終わった)、脳に関する科学(神経生理学、認知科学など)の発展によってあたかも人間の意識や本質が解明できると本気で科学者たちが考えているのではないか、と思われる記述があった。
後者『土と内臓』は、すべての生物は細菌の存在なしに成立し得ないという知見を前提に、生命に関する根源的な問いかけを行っている。
しかしこの対立(?)的な関係こそがむしろ相乗効果をなして建設的な方向へと導いてくれることは疑いない。
前者が間違っていれば、後者も間違っている箇所が多数あるかもしれない。公理をどう設定するかで帰結が決まっていく。
池田晶子は脳に関する一連の科学の限界を語っていたが、果たして、心は科学によってどこまでわかるのだろうか。この二冊は非常に深いレベルの話が詰まっていて、知的興奮を掻き立てられる。
メモ
うつのモノアミン仮説、統合失調症のドーパミン仮説は誤っていたことが証明されている
脳は形成期を過ぎても活性化される
“(・・・)人生の最初の数年をすぎてしまえば新しいニューロンは生成されないという長いあいだ維持されてきたドグマも、つぎのような発見によって覆されてしまった。すなわち、人間における脳のニューロンの生成や新しい神経細胞の成長は、大人であっても可能であるし、栄養から認知活動にいたる環境的なファクターによって刺激されたり抑制されたりするのである。” P22 (『ニューロ』)
研究の強烈な資本主義化による弊害
“(・・・)大学や学部や研究センターが営利企業から多額の資金提供を受け、その企業が優先的に特許権をえて、発明品を商業化するという「企業による捕獲」の可能性が含まれるのである。それらは、研究への既存のインセンティブを増大させ、もっぱらポジティブな研究の結果ばかりを報告させるようになるーーーこうした問題は、営利企業から資金提供されているところにとりわけ妥当する。” P35 (『ニューロ』)
シアノバクテリアが植物を生み出した可能性について
“この第三の微生物の融合が植物を生み出した。植物を緑色にしている葉緑体は、最初のシアノバクテリアの子孫だ。細部については議論が続いているが、今ではほとんどの生物学者が、微生物の融合が多細胞生物につながったというかつての過激思想を受け入れている。” P71 (『土と内臓』)
共生の例
木を消化する細菌を住まわせたフナクイムシのようなものの存在
アミノ酸を宿主に提供する細菌
バクテリアを牧畜するアメーバ