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新・読書日記110

アランナ・コリン『あなたの体は9割が細菌: 微生物の生態系が崩れはじめた』河出文庫(2020)

■株式会社河出書房新社

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     デイビッド・モントゴメリー (著), アン・ビクレー (著)『土と内臓』築地書館(2016)

■築地書館株式会社

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日記

『あなたの体は9割が細菌: 微生物の生態系が崩れはじめた』の冒頭では、著者が抗生物質によって腸内の細菌が大幅に失われたことによって体調を崩しやすくなった話が語られる。

自分も抗生物質で3日ほど腸がまともに機能しない日々を経験したことがある。この話が『土と内臓』と繋がっていく。化学薬品によって土壌内に生息する微生物が死滅することによって作物がまともに育たないという話は、いまの抗生物質の話と全く同じである。こちらも微生物の大幅な死滅によって土壌の本来の平衡状態が崩れたのである。作物は微生物から供給される航路を絶たれたという物語は、腸が機能しなくなり栄養が身体に吸収されにくくなったという自分の体験と重なる。

『土と内臓』を読み進めると、微生物は化学物質を通して植物とコミュニケーションをとっていることが書かれている。これは腸と脳のやりとり(腸脳相関)と全く同じではないか。世の中はどこまでもフラクタル構造だという驚異に驚くばかりである。

  

メモ

土壌を消毒すると植物は育ちにくくなる

“消毒した土で栽培した植物は病原体にやられ、消毒しなかったほうの植物は健康に育つ。発病抑止が微生物の活動によるものであることは、別の方法でさらにくわしく実証されている。” P118

  

微生物と植物のやりとり

“有益な微生物が土壌中の根の近くにいるとき、それは植物にメッセージを送って、全身誘導抵抗性という免疫のような反応を引き起こすことがわかっている。(・・・)今日の私たちは、微生物の言葉が、それぞれの微生物のゲノムによって暗号化された多様なタンパク質、ホルモン、その他の化合物であることを知っている。” P119

  

微生物と植物とのやりとりが記録されたのは最近

“このような化学信号の発信は相当前から推測されていたが、原因となる化学物質は、ようやく記録されたばかりだ。” P128

  

・・・

医学の常識は何年単位で更新されるのだろうか。勿論、内科、皮膚科、耳鼻科、精神科など分野は多岐にわたるので分野ごとに異なるのは当然ではある。

今国民の関心の高いトピックのひとつは免疫についてだろう。この免疫については何年単位で更新されるだろうか。

今常識とされる免疫に関する知見はいつのものだろうか。

自分が疑問に思うのは、腸の観点から総合的に考えた免疫の常識は本当に流布しているか、である。

西洋医学は対処療法が基本なので、内面からのアプローチというものが軽視されている気がしてならない。

例えば、添加物がガンとどれだけ相関性があるのか。添加物に限らず、欧米化による食の変異は日本人の平均的なマイクロバイオームにとってどれだけのリスクがあるのか。

科学者は、たかが添加物、たかが食品と言うかもしれないが、免疫を微生物と腸の観点から深く考えることができる人間はそういないと考えている。

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