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読書日記1078

    ユヴァル・ノア・ハラリ『ホモ・デウス 下:テクノロジーとサピエンスの未来』河出文庫 (2022)

■株式会社河出書房新社

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その他数冊

つづきをよみすすめた。

https://labo-dokusyo-fukurou.net/2024/07/17/%e3%83%a6%e3%83%b4%e3%82%a1%e3%83%ab%e3%83%bb%e3%83%8e%e3%82%a2%e3%83%bb%e3%83%8f%e3%83%a9%e3%83%aa%e3%80%8e%e3%83%9b%e3%83%a2%e3%83%bb%e3%83%87%e3%82%a6%e3%82%b9-%e4%b8%8a%ef%bc%9a%e3%83%86%e3%82%af/

   

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日記

『ホモ・デウス』もいよいよ終盤にさしかかってきた。

今日は100項まで読み進めたので折り返し点を過ぎたあたりである。

上巻の終盤からは、人間のつくりだす虚構が21世紀でも歴史的に重要な位置を占めるという話でまとまった。

・・・

下巻の序盤の内容は、世界的な権威が宗教から科学に置き換わったことによって、何がどのように変化したのかについてより具体的に掘り下げるものであった。

上巻にも書かれていたように、事実しか取り扱わない科学は「何をすべきか」に対する答えを直接には出さない。あくまで指標となるにとどまり、何をすべきかという問いは人間の主観的な問題に還元される。つまり「心」であったり「感情」というものが引き起こす問題(政治など)については以前として未解決だ、というものであった。

中世までは人間が「何をすべきか」という答えは聖書に書かれていた。

ハラリ氏は中世の知識について、「知識=聖書×論理」とした。

今ではLGBTなどの人々のアイデンティティはある程度確立されたが、中世では神が禁止している以上、それは認められないものであった。

本書によれば、芸術でさえも「神の模倣」とされる時代であり、今日のように「なにが美しいとされるのかは人それぞれだ」という主張は通らない時代であった。

デカルトらによって急激に近代以降、科学の力がパワーを誇るようになった。

以後、ニーチェ「神は死んだ」と宣言されたように宗教の権威は弱まる。

かくして「何をすべきか」という問いに聖書が答えることはなくなった。

ハラリ氏は、この問いに対する回答者が聖書から個々の「感情」へと置き換わったと述べた。

何をすべきかは人間の感情が決めるようになったのだそうである。

ハラリ氏がいうには、現代の知識は「経験×感性」へとシフトした。

芸術は神の模倣ではなく「個々の感情表現」と見なされるようになった。

かくして自由主義が広まり、今日では様々な考えが生まれている。

(リベラル、保守、リバタリアン、フェミニズムなど)

かくして、今後の社会問題は個々の主観的なものが台頭してくるとさるようになった。

現に政治ではその意味合いがより強く実感されるように思う。

ここまでが大まかな100項までの流れであった。

・・・

世の中は感情がより重視されるようになったかに見えるが、かといって心理学がこれから活躍していくのか。自分は全くそうは思えない。

今日感じたことは、感情とは何かに対する反応だとすれば、これは心理学だけではとてもではないが捉えきれるものではない。

心理学はLGBTの人たちに何を提供できるか?

心理学は政治上の意志決定に対してどうアプローチできるか?

心理学は経済上のあらゆる営利行為について、ミクロからどうアプローチできるか?

心理学は宗教対立や差別に対してどのようにアプローチできるか?

本書が世界的にベストセラーになった理由のひとつとして、自分は歴史学の持つ力、普遍性が挙げられるように思われた。

歴史の授業は退屈であった。しかし、大人になるにつれて歴史の知識が思った以上に重要であることを痛感させられる。

現在は過去の連続的な出来事の延長線上にあるのだから、その前になにがあって、なにが原因で今のシステムが出来上がっているのか、そのような想像力に力をくれるのが歴史なのだと痛感している。

・・・

『フラグメンテ』は、文字通り著者の断片的な思考の集成だ。

合田正人という人は『物質と記憶』や『存在の彼方へ』といった難解な哲学書の翻訳者として有名である。

中身はというとフッサール、ハイデガー、デリダ、レヴィナスといった現代思想のオンパレードである。

断片的ながらも、過去に読んだ本の内容と、ところどころ繋がっている。

難しいが知的好奇心が刺激され、つい読みたくなる。

公開日2023/7/12

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