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新・読書日記111

    栗原康『何ものにも縛られないための政治学 権力の脱構成』角川書店(2018)

■株式会社KADOKAWA

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  デイビッド・モントゴメリー (著), アン・ビクレー (著)『土と内臓』築地書館(2016)

■築地書館株式会社

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公式X(旧 Twitter ):https://x.com/tsukijishokan

ジョナサン・ハイト『社会はなぜ左と右にわかれるのか――対立を超えるための道徳心理学』紀伊国屋書店(2014)

■株式会社紀伊國屋書店

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日記

局所的な内容の本(ミクロの世界に関する本)を読んでいると全体的な本(マクロの世界に関する本)を読みたくなるものである。

書店のなかをうろうろしていると『社会はなぜ左と右にわかれるのか――対立を超えるための道徳心理学』が目に入ってきた。この本、なかなかブックオフで見つからない本である。いつもブックオフに置いてある本というのは、すぐに飽きられる本だとか、難しすぎて忌避された本であったりする。

例えば、プラトン『国家』、ダンテ『神曲』、エッカーマン『ゲーテとの対話』などの大文学は基本的に110円のコーナーにはおかれない。今まで一度も見たことがない。それくらい、人から愛される本であり、読まれる本であり、安いうち(110円コーナーに移動するまえの段階で)買った方がいい、と思われる本なのだろう。

  

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『社会はなぜ左と右にわかれるのか――対立を超えるための道徳心理学』は、子供は道徳心というものをいかに獲得していくかという話から進んでいく。

道徳は備わっているものか(先天論者)、それとも後天的に獲得するものか(経験主義者)。

世界の部族にまで幅を広げるとある程度俯瞰して考えることができる。

「人間は、一人一人の意見を尊重しなければならない」

西洋では道徳的なこの命題が普遍的なものかどうかは分からない。例外は常に存在する。

ただ、今日読んだ限り、「人間はなんらかの規則に従わなければならない」という命題であれば普遍性を持つ命題のように思われた。

このあたりのことはいろいろと思うことがあるが、長くなるので今日は割愛。

言語学の問題(普遍文法など)と絡めるとまた面白い。

  

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久しぶりに栗原康氏の本を読んだ。

自由を誰よりも愛する、自由人による自由人のための自由な本だ。

真面目な話をしつつ、真面目に不真面目なことについて語る。

ユーモアたっぷりで、あるページで吹き出しそうになってしまった。

通勤中に読むのは危険だと思った。

  

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『土と内臓』は200ページ弱まで読み進んだ。

腸が免疫に関して非常に重要な位置を占めているというのは元々知っていたが、専門的なことが多く書かれいたのでページを進めるのに時間がかかっている。

昨日は、消毒した土壌では、微生物による栄養の供給が途絶えてしまうので植物は育ちにくいということなどを学んだ。

また、植物と微生物は化学物質を通してお互いコミュニケーションをとっているという驚異的な能力についても書かれていた。

  

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メモ

大腸と免疫

“免疫系の約八〇パーセントは腸、特に大腸に関係していることを知って、私はやはり驚いた。” P161

  

“たいていの人は免疫系だけが人体の防衛システムだと思っている。この標準的な見方を「門前の蛮族」と呼ぶ。” P170

  

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細菌がガン細胞の破壊を助けるという話について書かれていた。これは自分のなかでひとつの大きな発見であった。

”(・・・)丹毒を引き起こす細菌が、腫瘍細胞を探知して殺すことのできる免疫系の一部も活性化したようだった。” P178

   

読んでいくと、細菌、樹状細胞、免疫細胞などがコミュニケーションをしながら防衛システムを働かせているという、あまりに複雑で驚異的な人間の内部構造に、こちらもただただ驚くばかりであった。

免疫細胞だけが自己治癒力にかかわっているわけではない。驚くべき事実はもうひとつある。

免疫細胞はなぜ腸内の細菌を攻撃しないのか。これについてはまだ解明されていないところが多いということが書かれていた。

ヒトゲノムの解読は2000年初頭で完了したみたいであるが、免疫については多くのことが現代科学でも未解明であるという。

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