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読書日記1107

スチュアート・カウフマン『自己組織化と進化の論理』ちくま学芸文庫 (2008)

■株式会社筑摩書房

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          リチャード・O・プラム『美の進化』白揚社 (2020)

■株式会社白揚社

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つづきをよみすすめた。

https://labo-dokusyo-fukurou.net/2024/07/20/%e8%aa%ad%e6%9b%b8%e6%97%a5%e8%a8%981106/

    

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日記

ふり返れば、美学への関心が再び強くなったので再びそれに関する本を読み漁っていた。

抽象的な美学論と格闘し、疲れはてた時に具象に関心が移った。それが結局進化論と繋がっているために自己組織化の本にまで手を出してしまった次第だ。

遠回りは近道。むしろこの迂回路こそが美学の醍醐味のような気がしないでもない。

・・・

散逸構造という言葉が紹介された。

流動性あるなかでも秩序が現れる現象のことをいう。台風の目や渦巻き、生物もまたそれ自体が散逸構造であるという。

細胞分裂を繰り返し、完全に細胞が入れ替わっても人は外見や性格がその前と比べて変わることはない。

よくよく考えればこれもまた奇跡的な現象であり、だからこそ生命は美しいとも言える。

普通、物質がただ集まるだけでは生命は生まれない。

「生命は生命から生まれる」

しかし宇宙の歴史のどこかで生命は非生命から生まれたはずである。そうでなければそれはそれでまた意味が分からないほどの奇跡である。

そう考えると、ニューロンの集合によって生まれる意識は二重の奇跡であるようにも思える。

物質の集合がある日生命となった。

ある日ニューロンの集合が意識となった。という具合に。

進化論に関連する本を読んでいたら神秘的な読書体験になってしまった。

自分はこの概念を人文の領域に応用できないかと考えた。

これはやはりベイトソンである。

すでにベイトソンが似たようなことをやっていた。

精神の生態学とはまさに「精神の散逸構造」ではないか。

・・・

『美の進化』のつづきを読み進めた。

著者は引き続き、自然淘汰だけでは説明できない鳥の話をつづける。

今日は「キガタヒメマイコドリ」という種類の鳥の尺骨の研究について読んだ。

これは明らかに飛行能力や機動性が低下するにも関わらず、装飾のために進化したと考えられる例であるとされる、ということであった。

また、進化については単に「適応」という概念では説明がつかないことが多いですよ、ということを明らかにした研究も出てきているということであった。

“生物進化のイノベーションの過程について、適応で説明がつくのは一部にすぎないことが最近の研究で明らかにされた。” P147

だいぶ前に松岡正剛氏の本で自己組織化について読んだ記憶があったがさっぱり忘れてしまっていた。

進化を説明する材料が意外にも多いことを再認識。

突然変異や美的な観点、あとは自然淘汰も含め、様々な科学の道具を使ってどこまで神秘にせまれるのか。

書店は進化に関する本が豊かになってきており、これはなかなか面白くなってきたように思う。

つづく

公開日2023/8/14

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