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読書日記1120

アーシュラ・K・ル=グウィン『私と言葉たち』河出書房新社 (2022)

■株式会社河出書房新社

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+『精神の生態学へ 中』

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日記

『精神の生態学へ (上) 』を読了したときに自分は汚染水問題について触れた。

https://labo-dokusyo-fukurou.net/2024/07/20/%e3%82%b0%e3%83%ac%e3%82%b4%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%bb%e3%83%99%e3%82%a4%e3%83%88%e3%82%bd%e3%83%b3%e3%80%8e%e7%b2%be%e7%a5%9e%e3%81%ae%e7%94%9f%e6%85%8b%e5%ad%a6%e3%81%b8-%e4%b8%8a-%e3%80%8f/

  

某有名人が、汚染水は処理されて自然界に存在する量よりも少ないから問題ない、左翼は頭が悪すぎるということを言っていた。

今日は暇だったので、読書よりもそちらに時間を割くことにした。

結論から言えば問題はない。むしろ韓国、中国、カナダ、フランス、イギリス、アメリカのほうが過去に日本よりもトリチウムを海に流しているということを資料で確認した。

とはいえ長期的な話になるとそれはまた別問題である。

次に、自分は「安全」という意味について考えた。

こういった物事に「100%安全」というのはまずない。

つまり、安全の「基準」はいかにして生み出されるか、それを調べるべきなのである。

結局こういう話は統計学の出番になる。

しかし統計も学べば学ぶほど深みがあり、素人がしっかりと判断を下すのはなかなかに難しい。

例えば1億人の平均年収を想定してみる。極端に考えて、9999万9999人が300万円だとして、一人だけ100億円としてみる。

この場合、100億円という膨大な数字は1億というサンプルによって薄められることになる。

そして平均は300万100円になる。

平均値はサンプル数に大きく影響を受ける。だからサンプル数というものが重要になってくるというのは素人でもギリギリ理解できる。

しかしそんなことを知ったところで、たいして役に立たない。

つまるところ、「安全」とは因果関係が特定できないほどにデータが希釈された状況なのだ。裏を返せば、発生確率(汚染水による健康被害)はかなり低いものとなる。自分の足りない頭で一生懸命考えた末、そのように落とし込んだ。

・・・

『ゲド戦記』の著者は本の電子化によってどういうことが起きるか語りかける。

電力に依存している限り、電力が消えた瞬間にデジタルアーカイブは消滅を意味する。しかし紙の本は何百年も生き延びたことをすでに証明している。それでも電子に移行すべきかどうか。出版社は紙の本をどう扱うべきか。

正直なところあまりにも難しすぎる問題なので自分は思考停止してしまった。

紙は木を伐採しなければつくれないだろうし、電力もまた環境問題と直結するわけだ。

なにがベストなのか。そんなものは分からない。自分はこれからも良い本だと思った本は買う、要らないと思う本は買わないか、譲る。個人としてはそれくらいしかできない。

そして大事なのは、質を重視している出版社を守ることである。

・・・

今日、Twitterを眺めていると感情論について考えさせられた。

気持ちは分かる。汚染水を海に流すのは良いことではない。しかし東京湾に流せという主張はあまりにも馬鹿げている。

左翼はパヨクと揶揄されるようだが、なんとなくその理由が分かる気がするのであった。やはり感情論に陥る人とは対等に話し合いはできないとTwitterを見て感じた。

「自分は数字に弱いし、政府の情報なんて信頼できない、でも透明な情報が欲しい」といった趣旨のコメントを見ていて思ったのは、調べる努力をしないのであれば沈黙するしかないということである。

知識人も知識人で問題点はある。「バカ」なんて言葉を使うのは暴力的ではないか。

批判されるから攻撃的になるのはわからないでもない。しかしそれでは対立が深まるだけだ。

データの信頼性と事実は分けて考えなければならない。

前者は政治、後者は科学である。

対立する者同士がコミュニケーションできる唯一のツールが、中立的な「科学」だ。

黙るか、勉強をするか。

自分は勉強を選びたい。

公開日2023/8/27

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