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読書日記1143

J・M・クッツェー『マイケル・K』岩波文庫 (2015)

■株式会社岩波書店

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日記

無性にクッツェーが読みたくなった。

5,6時間ほどかけて200ページまで読んだ。

人生と自由について考えさせられる本だ。

物語が中盤に入ると、ダニエル・デフォー『ロビンソン・クルーソー』のような生活に突入する。

マイケルは生活の安定と引き換えに、キャンプで労働させられる日々に耐えきれず逃亡の末、完全に孤立して自給自足の生活を始める。

しかしデフォーの小説と違うのは、明らかに自給自足になっていない点である。いつ死んでもおかしくない日々が続く。これが自由の姿なのか?なにかがおかしい。

三木清はパスカルに影響されてからか、『人生論ノート』のなかで、悪は、人間は孤独になりたくないという気持ちからが生まれる、というようなことを書いていた。

パスカルは『パンセ』のなかで、あらゆる不幸は家にこもっていられない性から生まれるということを書いていた。

自分はマイケルに感情移入してみたが、ところどころで違和感を感じた。

しかしそれはマイケルについて理解に及んでいないだけかもしれないとも感じた。

マイケルは常に人との交流を断ちたがるように思えた。これがなかなか理解できなかった。

「人間は支え合わなければならない」という綺麗事は、戦争という不可避の災厄によって打ち砕かれてしまう。

だがどうなのだろうか。

孤立すること、ロビンソン・クルーソー的に生きることが真の自由なのか。

自分にはそうは思えない。

他者との関わりにおいてどんなに嫌なことがあっても、それを克服しなければ必ず自由は掴めないと思わずにはいられない。

公開日2023/9/18

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