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読書日記1150

マイケル・サンデル『実力も運のうち 能力主義は正義か?』ハヤカワ文庫 (2023)

■株式会社早川書房

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その他数冊

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日記

いよいよサンデル氏のこの本が文庫化され、コンパクトになり電車内で読みやすくなったので読んだ。

これも重厚な内容なのでいっきに読み進めることはできなかったが60ページほどは読み進んだ。

能力主義と親ガチャについては一般的に知られるようになったのか、この本の売り上げ数と文庫化の早さはそれを象徴しているように自分には見えた。日本のサラリーマンや学生はこの本をどのような気持ちで買ったのだろうか。気になるところである。

序盤ではお金の力で名門大学に「裏口入学」が横行していた事実について書かれていた。そしてそれがビジネスの名のもとで行われていた。驚きである。

日本以上に格差が開いていると思われるアメリカでは、こんなことがあったら学生の勉強のモチベーションが著しく低下するのではないか。

格差があること自体は歴史的に普遍的な事実なので、程度の差はあれどこかで妥協しなければならないことは理解できる。しかし格差を受け入れることは、格差を「強化」すること、頂点に立つ者の権力を「強化」することとは別問題ではないのか。そういう問題意識を持っていたからこそこの本は生まれたのだろうと勝手に推測してみた。

少し疲れ気味なのか、あまり読書に時間を割けづらくなってきたので今日は面白い本を読むことにした。

そして松岡正剛氏の新刊も併せて読んだ。

ジュディス・バトラー『ジェンダー・トラブル』が採用したオースティンのパフォーマティヴ論は奥が深い。

こういうものを読むと、改めて言葉というものがいかに意識を規定するのかが分かる。

権力を構築する際に用いられる言説は、突き詰めれば言葉と意識によって織り成されている。そこを徹底的に掘り下げればジェンダーが社会的に作られたものであるということが見えてくる。

言葉の力が無視されれば当然偏見も生まれてくる。

文学、哲学は言葉の観点から日常生活上のトラブルを解決する方向に向かわせるエネルギーを秘めている。

公開日2023/9/26

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