■株式会社新曜社
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日記
今月一番に面白い本を発見してしまった。
これはとてつもなく刺激的な本である。素晴らしい。
矛盾をとことん掘り下げる内容となっていて、『倫理の道具箱』『哲学の道具箱』のように、矛盾の種類があらかじめ区分けされているので、気になるトピックを好きなようつまみ食いできるようになっている。
本書ではまず矛盾を因果関係の有り無しによって二つに分ける。
前者は自己言及のパラドックスであり(ラッセルのパラドックス)、後者は現象のスケールで発生するパラドックスである。
矛盾には「意図せざる結果あり」である。
端的に現れているのは禁酒法だった。
酒を禁止するはずだったがむしろ、見えない場所で飲む人が増え中毒者が増えてしまったという「逆説(=パラドックス)」が生まれた。
言語学的にも「言語行為論=パフォーマティブ論」といって、意図せざることが発生する。(≒ダブルバインド)
例)「暑い」⇒暑い気持ちを表しているが、他者からすれば「エアコンつけてほしい」というメッセージともなる。
物事には必ず二面性がある。
なにかをすることはなにかをしないこと。
なにかをしないことはなにかをすること。
例えば政治的な問題は無知によって、つまり「学ばないこと」によって「誤ったことをしている」という側面もあり「矛盾=パラドックス」が生まれるということが本書に書かれていた。
今日は忙しくまだ書き足りないがつづきを読み進めたい。
追記:
本書には相対主義のパラドックスについても言及されている。
「あらゆる物事に絶対はなく、全ては相対的な真理にすぎない」という命題でさえも「でもそれも相対的なものだから真理ではないですよね?」と否定されてしまう。
「世の中に絶対的な真理はない」という命題と同じで、この命題が絶対的であることを暗に意味しているからこれも矛盾になる。
「世の中に絶対的に正しい真理はある」という命題は単純には矛盾しない。
理論としては可能だが現実的ではないが、唯一絶対主義が矛盾をまぬかれている点には注目したい。
ゲーデルは、ある論理体系の完全性を、その論理体系のなかから完全であることを証明することはできないと『不完全性定理』で証明したとされるが、だからといってそれは「絶対的に正しい真理はない」という証明にはならないことにも注目したい。
つづく
公開日2023/10/1