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その他数冊
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メモ
“「(・・・)ロゴス中心主義批判は、何よりもまず、「他なるもの」、「言語にとって他なるもの」の探求なのだ」。(・・・)脱構築が現実に示しているのは、指示対象の不在などということではなく、「指示をめぐる問いは、数々の伝統的な理論が想定していたよりもはるかに複雑で決定しがたい、ということだ。” P406 (『救済の解釈学』)
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日記
『文明の生態史観』を読み進めた。『銃・病原菌・鉄』で示唆されたように、文明は誕生した場所によって発達スピードが異なるという見方を梅棹氏も同様にしていたところが興味深い。
第二地域は乾燥地帯であるという共通点があるとされる。
第二地域では帝国ができては壊れ、できては壊れが繰り返されたことによって封建制度を経験せず、社会主義へ向かうという流れがある。
逆に第一地域は封建制度を経験し、帝国化し、資本主義へと進んでいる。この対比は非常になんらかの法則性を思わせる。
“第一地域では、動乱をへて封建制が成立するが、第二地域では、そういうように、きちんとした社会体制の展開はなかった。第二地域のあちこちでは、いくつもの巨大な帝国が、できてはこわれ、こわれてはまたできた。” P123
社会学者の小坂井氏は、日本は鎖国したことで逆説的に西洋化したと書いていた。
これもあながち間違いではないと思われた。第二地域ではようやく近代化に向けて進みかけたときには時既に遅し。第一地域の侵略によって植民地化されていく。
飛躍した考えだが、身体を丸めると熱が保てるように、日本はシャットアウトしたことで何らかの政治的、文化的機能が江戸時代に熟成されたのかもしれない。明治時代には既に西洋文化を吸収する素地ができていた。だから近代化に成功した。そう考えてもおかしくはない。やはり面白い本だと感じる。
・・・
執行草舟氏の『現代の考察』を再読。
一周目とは違った景色が見える。
読み終わってから半年以上は経った。あれからいろいろあったが、少しは物事を広く捉えることができるようになったのだろうか。この本を最後まで読んで次に何が見えるだろうか。
執行草舟氏が文明について語る。
“自分が生きる時代に、自分が生きるために過去のものを壊して、自分が生きやすいように変えただけだと思っています。これが文明の正しい見方です。つまり絶対正義はない。絶対正義がある、という教育が現代の民主主義ですから、特に気をつけなくてはなりません。” P34
正しい仕事というものは無い、しかしそれでも他者のために対して何かを全力でやらなければならないと語る。
どんな物事も負の側面があり、それを挙げればキリがない。負の面を最小に抑えて、正の効果を最大にすることもおそらく不可能である。社会貢献は循環で考えると何事もエネルギーを使用するので必然的に原子力発電に頼らざるを得なくなり、還元不能物質(処理水、プラスチックなど)を量産することになる。それでも経済を回さなければならない。まさしくジレンマである。このどうしようもないジレンマのなかで最良の選択肢はとくになく、執行草舟氏は目の前のことに全力になれと語る。実際、それしかない。あれやこれやと考えても社会的な活動には必ず矛盾がつきまとう。正しい文明の在り方というものは時代が決めるのであって、相対的なものでしかない。
しかし面白いのは、「「絶対的に正しい事はない」は絶対的に正しい事である」という命題は自己矛盾していて論理が破綻していることにある。
前半では絶対を否定しながらも、後半では絶対を肯定しているのである。
ここまで書いて疲れてしまったのでまた次回につづきを書きたい。
つづく
公開日2023/10/25