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デボラ・キャメロン『はじめてのフェミニズム』ちくまプリマー新書 (2023) 読了 + 読書日記1188

    デボラ・キャメロン『はじめてのフェミニズム』ちくまプリマー新書 (2023)

■株式会社筑摩書房

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つづきをよみおえた。

https://labo-dokusyo-fukurou.net/2024/07/26/%e8%aa%ad%e6%9b%b8%e6%97%a5%e8%a8%981187/

   

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メモ

アセクシャル・・・他者に性的魅力を感じない人を指す

マチルダ効果・・・共同研究を男女で行う際、その手柄が男に取られてしまうこと

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感想

大学時代にもフェミニズムの講義を受けて、当時の自分はフェミニズム第三波に関するプレゼンを行ったものだったが、本書を読んで今は第四波まで来ていて、なかなか社会が変わらない様子が伝わってきた。

本書には、完全に男女の平等が実現するのは西暦2133年になるという予測があることについても言及されていた。

フェミニズムの始まりが19世紀ということで、既に100年以上経っている。いかに社会がなかなか変わらないのかが伝わる。

帯には「なぜ天才と言われる女性は少ないのか」と書かれている。今日はこのことについて著者の考えを読んだ。

それは機会の平等という観点から説明がつく。教育が不平等であれば学問的な貢献が男に片寄るのは自明である。換言すれば、機会が平等になればなるほど性差がないという状況になる可能性が高い。

世界的にまだ機会の平等は達成されていないと思われる。中東はとくにひどい印象がある。平等が進めば偏見は取り除かれる可能性が高い。

社会科学の研究が進めば、今後新しい常識が生まれるだろう。偏見は科学的に取り除かれるべきである。ここで教育の重要性を再認識した。また、「格差のなにがいけないのか?」と、平等の問題を能力の問題にすり替える事があるが、やはり一個一個、物事を細分化して分けることの重要性というものを再度考えさせられた。

養老孟司『バカの壁』では、ある講義の感想が、男女で大きく違いがあったことについて書かれていた。自分は男性なので本書から引き出せることが少ないかもしれない。それでも想像力を養うにはときにこういった本も読むことが大切だと改めて思った。

関連図書

https://labo-dokusyo-fukurou.net/2024/07/20/%e5%9d%82%e5%8f%a3%e8%8f%8a%e6%81%b5%e3%80%8e%e9%80%b2%e5%8c%96%e3%81%8c%e5%90%8c%e6%80%a7%e6%84%9b%e3%82%92%e7%94%a8%e6%84%8f%e3%81%97%e3%81%9f%ef%bc%9a%e3%82%b8%e3%82%a7%e3%83%b3%e3%83%80%e3%83%bc/

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読書日記1188

アクセル・ホネット『正義の他者 新装版』法政大学出版局 (2005)

■一般財団法人 法政大学出版局

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公式X(旧 Twitter):https://twitter.com/hosei_up?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Eauthor

その他数冊

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日記

ふりかえれば、ドーキンスの本を読んで科学の知について思いをめぐらし、「事実とは何か」という問いが自分の中で醸成されつつあった。

その問いは哲学と接続され、実在と言語に今一度迫ってみようという気にさせた。

ドーキンスからヒュームの法則を経由しウィトゲンシュタインへ。

ジェンダーに関心をもったのは、社会的に構築される「虚構」というものに意識をもったからである。

読書日記で度々小坂井敏晶氏について触れていたら、気づいたらジェンダーについて「虚構」という観点から再度考えてみよう、と思ったのかもしれない。

言葉と実在については池田晶子の本を読み込んでいたら考えざるを得ない。

現代は文学や哲学は価値がないとみなされがちである。

言葉の無価値性を科学的に退けられてはたまったものではない。自分はこの時代の流れに抵抗したいと強く思っている。

ウィトゲンシュタインのいう「沈黙」というものは、考えれば考えるほど不思議な感覚を覚えるのであった。

先に世界があり、そこから言語という媒介を通して記述することが可能となった。

逆はないだろう。無いものに対して言及することはできない。

しかし先に世界があって言葉が生まれたにもかかわらず、なぜか言葉というものは文法を獲得するやいなや「矛盾」というものを同時に生み出してしまう。

この主客転倒のような、不思議な現象は自分の言語に対する関心を日々強めている。

・・・

言語があるから社会が乱れていく。

システムがあるから社会が乱れていく。

経済成長と自由は等価交換なのか。

ルソーは人間の性善説を支持していた。今、人間は性悪説なのか、性善説に従うのかは自分の関心外であるが、ルソーの問題意識は共有している。

社会制度と悪の相関について、彼から学ぶべきことは多いように自分には思われる。

“分業が不可欠なものとなってしまうにしたがって、お互いの差異を強調してみずからの尊敬を得ることへの欲求もまた増大し、結果的には高慢、虚栄心、偽善が人々を支配するほどにまでなってしまう。” P8 (『正義の他者』)

「個性的」と呼ばれる人は単に「差異」が大きいだけだ。

個性的であるために差を作らなければならないといのは、冷静に考えれば病的である。

今に始まったことではないが、こういう本を読むと現代社会の病理についていろいろと考えさせられる。

アクセル・ホネットの承認論はジェンダー問題と接続可能のように自分には思われた。

権力問題は承認の問題でもあるかもしれない。

承認欲求という言葉もあるくらいだ。

アクセル・ホネットの承認論の大半はヘーゲルに依拠している。そして池田晶子もまたヘーゲルを経由している。池田晶子がどれだけヘーゲルから影響を受けたのかはわからないが、池田晶子の本ではヘーゲルの内容が2割ほど占めているように思われるところを鑑みれば、ホネット⇒ヘーゲル⇒池田晶子という意味では繋がっている。

本と本を繋げて考えるのは自分の大事にしている観点から、この機会にいろんなものを接続してもっと広い視野で考えられるようになりたい。ホネットは地道に読んでいきたいところだ。

・・・

『人類の深奥に秘められた記憶』は冒頭から引き込まれた。

良い言葉があったので自分はノートに書き写した。

“真の作家たちの作品だけが本気で論じるに値する。” P11

自分はいつか池田晶子に関する本を書きたいと思っている。

池田晶子論というと、なんだか恐縮ではあるが、あのような偉大な哲学者はしばらく出てこないだろうと自分は思っている。

自己満足の部分もあるが、こんなに池田晶子の本を長期間読むことになるとは思わなかった。自分にとっては池田晶子の本こそ、本気で論じるに値する唯一の哲学書である。

“偉大な本は無についてしか語ることはない。だが、そこにはすべてがある。” P40

サルトル『存在と無』という本があるが、自分は読めていないのでなんともいえないが、池田晶子ほど存在と無について本で書いている哲学者はいないだろう。

哲学は批評ではない。

しかし今日の哲学書は政治的なものが多い。哲学者の9割は単なる批評家だと自分は勝手に思っている。

彼らは無のことなどお構いなしに、ただただ抽象的な概念の操作を行ったり、過去の哲学者についてああだこうだと言っているような人間ばかりである。

という経緯もあり、この文章はノートに書き写さねばならないと感じた。

・・・

『ジェンダーと脳』では、女の子のほうが言語の発達が早いという常識について触れられていた。

脳は大きさや、体重の比率によって知能などに差が出るのか?それは例外が多すぎて、実はほとんど関係がないということであった。

マッコウクジラは明らかに人間より脳が大きいということである。

科学者はいかに男性のほうが女性よりも優れているかを、脳科学的に正当化しようとしてきた。しかしそんなことを立証するのはほぼ不可能ではないだろうか。

それでも偏見に立ち向かう著者の気概というものを自分は学びたい。

知能のあり方は脳の構造的なあり方に依存するのか。実はそうでもない可能性が高いようである。

女の子は一般的に男の子よりもませているといったことはよくある話だ。

しかし著者によれば、どうやら親は男の子よりも女の子のほうが話しかける回数が多いようなのである。(検証は難しいが)

社会科学と同じく、無数にある要因を探り、検証し、確かめていく。

この手続きはなにも学問に限らず、生きていくうえで大事な考え方だ。

読みたい本が多くてパンク気味であるが、じっくりと読んでいきたい。

公開日2023/11/5

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