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日記
『日本の美学』
この世は逆説に満ちているということを本書でも感じた。
単なる手段だったものが目的化してしまうことは多い。
これもひとつの逆説。
自戒を込めて書かなければならないが、文学作品を理解しようとする読み方もまた、逆説的に言えば結果として時間の無駄になるということを本書から感じ取った。
満足のなかでは欲望というものは消え去る。
同様に、手段というものが目的のなかで消え去る。
速読は読書にかかる時間を短縮するという目的がある。
手段は速く読むこと。
しかし時間を短縮するという目的のなかで速く読むという手段は消え去る。
禅問答の境地に入った。
言い換える。
巻き戻し。
・・・
満足のなかで欲望は「存在し得ない」。
同様に、手段というものは目的のなかでは「存在し得ない」。
分かりにくいので、後で自分が読むときのために説明を加える。
お腹が空いたので、大好きなラーメンを食べに行くとする。
目的は大好きなラーメンを食べることではなく、腹を満たすことである。つまり「満腹(または空腹からの脱却)」が目的である。
手段は「ラーメンを食べる」。
「満腹」という目的のなかに「ラーメンを食べる」は含まれない。満腹は「状態」のことを指すからである。
再び巻き戻し。
速読は読書にかかる時間を短縮するという目的がある。
手段は速く読むこと。
しかし時間を短縮するという目的のなかで速く読むという手段は消え去る。
言い換える。
時間を短縮するという目的において速く読むという手段は存在し得ない。
禅問答再び。
すなわち、
読書とは本を読まないことである。
本を読まないことによって読書を行う。
( ≒(理解しようと努めないこと=読書) )
つづく
公開日2023/12/20