■株式会社 みすず書房
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感想
「生きるというのは考えるということ」
アーレントと池田晶子がほぼ同じことを言い残している点がとても印書的であった。
ハンナ・アーレントはアイヒマンを凡庸な役人と同等と見なすことによって、悪の発生源が万人の内部に潜んでいると示唆した。(『エルサレムのアイヒマン』)
メモ
“アイヒマンを悪魔的な怪物にしてしまうと、私たちは彼の罪を免責してしまうことになる。さらに私たち誰もが、潜在的に抱えている罪、「物事を考え抜かない」という罪までをも免責することになってしまう。” P220
“悲しいことに、ほとんどの悪は自らの精神を善とも悪とも見なしたことのない人たちによって行われるの” P220
”考え抜く苦しみよりも画一化する安心をとる人は、そこでおしまいです。” P221
“凡庸さは「無意味」を意味するのではありません。それが意味するのは「無思考」です。” P221
・・・
アーレントは早熟だったが、誰よりも努力をしていることが伝わった。
父親が梅毒で亡くなってしまったことで、世界を知りたいという欲求が突き動かしたのかもしれない。
自分の知る限り、死に近いを経験したり、間近で死を見ている人は、そうでない人よりも達観の境地に至る人が多いように思われる。
現代のヒューマニズムを否定はしないが、「死」を遠ざけ、終いには無いものだとすら思わせようとしている。
そういうところは見直されるべきだと改めて感じた。
本書は漫画の形式でハンナ・アーレントという哲学者・思想家について分かりやすくその生涯を描いている。
ハイデガーとの恋愛やヴァルター・ベンヤミンとの交流の話は個人的に面白く読めた。
良い本だったなと思う。
公開日2024/1/14
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