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つづきを読み進めた。
読書日記1287、1288に収録
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日記
小室直樹の本の読解にかなりの力を注いだので今日はのんびりと読書を行った。
カフェから出たあとは思索にふけったりもした。
メモしながらいろいろ考えた一日であった。
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『世界史が苦手な娘に宗教史を教えたら東大に合格した』も面白いが、個人的な感想としては、宗教史を学ぶには最初に小室直樹のような本で体系的におさえたほうがいいと感じた。
著者には申し訳ないが、『世界史が苦手な娘に宗教史を教えたら東大に合格した』にはどことなく物足りなさを感じてしまった。
どうしても断片的な知識しか頭に入らない。
以下にそのメモを書くと、
・ジハードとはもともとは努力の意。
・ユダヤとキリストは利子を禁じているが、異教徒からはとってもいい。
・古代インドにおいてバラモンが最高の身分。インドの憲法ではカースト制度を禁じているが宗教の関係で複雑な自体になっている。
・イスラム教はトーラーと聖書をもとにつくられた。
という具合になってしまう。
著者には申し訳ないが、自分は本書を閉じて『漂白のアーレント 戦場のヨナス』のほうを読むことにした。
・・・
『漂白のアーレント 戦場のヨナス』
『エルサレムのアイヒマン』の公刊後、アーレントに対する痛烈な批判が浴びせられた。
なんとなくは覚えていたが、なぜ問題作とみなされたのか、今日はそのあたりを地道に読み進めた。
『世界史が苦手な娘に宗教史を教えたら東大に合格した』の著者は、歴史に答えはないと書いていた。
このことが意外にも本書の読解に多少のヒントを与えてくれたように思えた。
というのも、批判を浴びせた側がアーレントの主張を「正しく」解釈できたとは思えなかったからである。
つまり二重の問題がみえてくる。
・読者の読解力の問題
・歴史認識に関する認識の相違
アーレントはアイヒマンを極悪人とするわけにはいかなかった。
それは前回か、前々回に書いたように、アーレントはシオニズムの思想にどことなくナチスの思想と重なるところを感じていたから、ということであった。
再度引用する。
“シオニズムはユダヤ人国家の設立という目標を追い求めた結果、次第にナショナリズムへと傾倒し、イギリスの帝国主義政策に組み入れられ、さらにそこから全体主義的運動にまで接近してしまったのだ。” P99
本書ではアーレントの独立精神というものが垣間見えた。
“そうした「全体」のうちに個を取り込もうとするイデオロギーに対して、アーレントは徹底した嫌悪を示した。” P142
勝手な憶測ではあるが、おそらく『エルサレムのアイヒマン』を読んで激怒した人たちのなかには、アーレントが以上のように考えていたことを単に知っていなかったからに過ぎない側面もあるかもしれないと自分には思われた。
ただ、無条件でアーレントの主張に肩を入れるわけにもいかないと自分は考えた。
どことなく、アーレントにはアナキストの側面も感じられた。
アーレントは端から「共同体」というものを信じていないのかもしれない。
こういうところは素人には判断がつかないので、しばらくは読書を通じて専門家の解釈に耳を傾けなければならないだろう。
・・・
ただ本書に書かれていた、『エルサレムのアイヒマン』の締め括りの箇所の言葉には非常に共感するところがあった。
あえて強調したいと思う。
”政治においては服従と支持は同じものなのだ。” P145
これがアーレントのアイヒマンに対する想いである。
アイヒマンだけに当てはまることではなく、例えば選挙に行かないことは、裏を返せば(海外に移住などしない限りは)その帰結に服従するということであり、それは「支持」を意味する。
(但し、選挙に行くことが必ずしも正しいと自分は断言しない)
アーレントの「悪の凡庸さ」は日本人にも、否、全人類にも宿っているものだということを改めて感じた。
最後に後期アーレントのもうひとつの言葉を引用して終わりにしたい。
“深く、根源的であるのは常に善だけです。” P147
(アンドレ・マルロー『人間の条件』はあまり読み進まず、、)