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日記
タイパを重視する人が増えているみたいである。(以下、この思想を持つ人をタイパ主義者とする)
自分はいくつかの仮説を立ててみた。
まず一つ。小室直樹の元ゼミ生、宮台教授の提唱する概念である「損得マシーン」に当てはまる。
掘り下げていくとマックス・ウェーバーの鉄の檻にたどり着くそうである。
深く理解はできていないので、ざっくりとした仮説になるが、社会の合理化によって人間の行動が目的合理性に染まっていく。その帰結がタイパ主義者なのである。
大局的に見ればタイパ主義者はシステムに閉じ込められていると言える。そこに主体性というものはないように見える。
二つ目。エーリッヒ・フロム「自由からの逃走」に通ずるものを感じる。
タイパにこだわる理由は、裏を返せば「無駄な時間」というものへの、ある種の恐怖感があるのではないだろうか。
恐怖感とまではいかないまでも、少なくとも「退屈」というものを避けようとしているように見える。
池田晶子が何回も書いていたが、社会が便利になればなるほど時間が空く。
最新のドラム式であれば洗濯する時間が無くなる。ロボットが掃除をしてくれて、掃除する時間が無くなる。電車のスピードが上がり、移動する時間が無くなる。
あらゆる手間が省ける分、空白の時間が量産される。
すると退屈が待ち受けることになる。
社会の合理化によって人はこの退屈というものをいかに克服するか、という問いを突きつけられる。
「自由からの逃走」は過去に一度読んだが理解があまりできていないので、今から書いていく根拠は薄いが、要するに考えることが面倒の人は「時間と生活について」といった抽象的なテーマを深く考えることを避けるようになり、隙間時間をなにかで埋めようとすることになる。
つまり考えることからの逃走と言える。
そこで先程の「目的合理性」に染まりきった社会に影響を受けることで自然とタイパ主義者になっていく。
結局、ここでもやはり主体性は弱いように見える。
日本がアメリカに勝てない本当の理由は、プロテスタントであるか、無宗教であるか、との違いなのか?
この問いは幾分か滑稽だけれども、小室直樹の本を読むと必ずしもそうでもなさそうだなと思えてくるのであった。
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『「天皇」の原理』
小室直樹がマクルーハン理論について書いていたのでメモした。
“要約するとこうなる。テレビで、ある学者が、ある学説について説明したとしよう。効果の大きさは、そのほとんどは、この学者の態度、物腰、人相、服装、口調、背景……などによって決定される。語った内容が占める割合は極めて少ない。つまり、内容ではなく、背景となる言わば道具立てが、効果のほとんどを決定する。” P42
読書のメリットは以上の要素が低減されている点にある。
口調や態度も文章に表れるが、基本的に視覚しか働かないのでより中立に考えることができるように思われる。
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小室直樹いわく、天皇と日本の歴史、日本人の行動様式を理解するには宗教史を紐解く必要があるという。
本書も新書のような薄い本にしては密度が高い。
しばらく宗教史の勉強は続きそうだ。
まず偶像の禁止の理由を再度復習。
古代エジプトや古代メソポタイアの宗教はことごとく破壊されて無くなってしまった。
小室直樹いわく、天災や戦争で偶像(神殿や神像など)が破壊されたらそれでおしまいだということであった。
宗教を維持するには、情報は具象ではなく抽象的なかたちで残す必要がある。
古代ユダヤ教が残ったのは根拠がトーラー(法律)にあったからだと説明された。
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つぎに個人救済と集団救済について説明された。
メモ
・孔子は徳行による癒しをしなかった
・孔子が癒しをしなかったのは、儒教が集団救済だからだとされる
・そして儒教は神秘主義を否定しない
・儒教は「よい政治」によって全体を救済する
以上の流れがどういう道筋で天皇につながっていくかに期待。
公開日2024/2/20